かかりつけ薬剤師になって欲しい人

2023年1月のカレンダーが早くも残すところ数日となってきました。日照時間もだんだんと長くなり、春の到来が待ち遠しいこの頃ですね。

先日、実家の70代の母から電話がありました。

「認知症検査を病院でしてきたんだけど、脳の状態は良好で心配はいらない、とお医者さんに言われたよ。ただ、「気になるなら、認知症予防の為にお薬を飲んでみたらいかがですか?」と言われ、お薬をもらったんだけど、飲まなきゃいけないのかしら?薬局でお薬を処方してもらう時に薬剤師の人に「あー、このお薬ですか…」と言われたのが少し気になるんだよね?」とのこと。

私は、すぐに友人の薬剤師に事情を話して相談しました。友人の薬剤師は、前職は製薬メーカのMRをしていたので、お薬のことはとても詳しくて、いつも丁寧に相談にのってくれるのです。

結論としては、「飲みたかったら飲んでみてもいいと思うけど、お薬に抵抗感があるならば無理に飲む必要もないお薬だよ」と。そして続けて、「お母さんの気持ちもよくわかるよ。特に病気でもないのに薬が処方されたら、不思議に思うよね?でも、このお薬は、・・・(詳しい解説)」と親身になって教えてくれました。

私は、「かかりつけ薬剤師を指名するなら彼女みたいな薬剤師を指名したい」と心から思ったわけです。それは、薬に詳しいからではなく、事情を察しながらなぜこの質問がなされているのか?という患者サイドの背景をしっかりと想像(共感的理解)する力に長けているからです。

そして、実家の母が処方してもらった薬剤師の対応にはとても疑問が残りました。「あー、このお薬ですかぁ・・・」なんて言葉が発せられたら、いろいろな妄想をしてしまいます。不安になります。

その場で母が説明を求めればよかったのですが、その時はあまり何も考えずにお薬を受け取って帰宅してしまったものの、後からじわじわと不安になってきたという状況です。母の立ち寄った薬剤師の方がどのような意味でその言葉を発したのかは分かりませんが、少しフォローしてほしかったな、と思った次第です。

「かかりつけ薬剤師」というけれど、実際には「かかりつけ薬剤師」になってほしい人とそうではない人といるのが現状です。そして薬剤師の資質の差は、選ばれる薬局になるか否か?の差にも繋がっていくのでしょう。

今年に入り電子処方箋の運用が開始され、更に4月には、医療機関・薬局に対して「オンライン資格確認の導入」が原則義務化されます。マイナンバーカードもじわじわと普及しつつあり、交付率は53.9%となりました。(2022年11月末時点)健康保険証と一体化となったマイナンバーカードが当たり前の時代が目前に迫ってきています。

現状では、オンライン服薬指導を希望する患者はまだあまり多くないですが、紙の処方箋からオンライン上での調剤依頼に切り替わってくれば、オンラインでの服薬指導のニーズは徐々に高まってくることでしょう。リモート薬剤師という働き方も今後ますます増えていきますね。また、来年は薬機法の改正年となり、4月の調剤報酬改定では、これまで以上に対人業務やかかりつけ機能が重視される報酬制度となることは容易に予測されます。

薬剤師の職域が大幅に拡大し、求められる職能要件も大きく変わります。

「2025年までには全ての薬局がかかりつけの機能をもつ」という厚労省の薬局ビジョンの実現に向けて、国は大きく舵をきっています。今年からの3年間は、薬局にとっては激動の3年間、変革の3年間となりそうです。

この薬局を取り巻く激流に逆らったり乗り遅れたりすることのないように、変化への対応力が試されます。

弊社の看板プログラム「かかりつけ薬剤師育成プログラム」が、今年からオンライン公開講座としても受講できるようになりました。ここ数年間で起きている薬局業界をとりまく環境変化をしっかりと紐解きながら、薬剤師として今後求められる知識・スキル・マインドをさらに伸ばして頂けるよう、現場に即した事例を交えながら構成されております。

弊社ホームページ(https://www.ptc.co.jp/pharmacist/seminar.html)にてプログラムのご案内を掲載しております。

来期以降の教育計画のご参考まで、是非、ご視聴頂けましたら幸いです。