オンラインセミナー『かかりつけ薬剤師育成プログラム(ヒューマンスキル開発プログラム)のご紹介』概要

先日開催しましたオンラインセミナー(以降ウェビナー)

~患者・処方元・他職種とのコミュニケーション力を開発する為のポイントとは?~
かかりつけ薬剤師育成プログラム(ヒューマンスキル開発プログラム)のご紹介

では多くの方にご聴講頂き、

「対人業務における具体的な課題とその対応方法(研修内容)が確認できた」

という感想を頂きました。
そこで今回は、上記ウェビナーの内容の一部をご紹介させて頂きます。

ウェビナーのアジェンダは、

■オリエンテーション
■かかりつけ薬剤師育成プログラムとは
■かかりつけ薬剤師育成プログラムを制作した背景
■かかりつけ薬剤師育成プログラムの目指す所
■ヒューマンスキル開発のテーマと内容

の5つです。それでは順を追って内容をご紹介します。

■オリエンテーション

薬局業界には対人業務を要請する波が次々に押し寄せています。
具体的には、

・服薬後フォロー義務化
・0402通知
・薬局認定制度施工
・2020年度調剤改定

が挙げられます。今回はこの対人業務を要請する波への対応策として、かかりつけ薬剤師育成プログラムをご紹介させて頂きます。

 

■かかりつけ薬剤師育成プログラムとは

かかりつけ薬剤師育成プログラムは、

弊社が開発したヒューマンスキル開発プログラム、アイセイ薬局が開発したテクニカルスキル開発プログラム、この2つから構成される教育体系です。今回は前者の内容をご紹介します。

ヒューマンスキル開発は下図の4テーマで構成されています。

1年目から3年目は1対1のコミュニケーション場面、4年目は1対複数のコミュニケーション場面を想定しており、1対1のコミュニケーション術を学んだ上で、1対複数のコミュニケーション術を学ぶ構成となっています。

■かかりつけ薬剤師育成プログラムを制作した背景

弊社がかかりつけ薬剤師育成プログラムを制作した背景は2つあります。
1つ目は、薬剤師のコミュニケーションに対する距離感です。

弊社が薬局業界への研修を始めた当初のアンケートでは、

・コミュニケーションが苦手だから薬局に入った
・コミュニケーションの上手い・下手は持って生まれたセンスで決まる
・大学でコミュニケーションに関する授業は受けたが、使いこなせているかは分からない

という声が少なくありませんでした。
この事から、薬剤師のコミュニケーションに対する自信の無さを感じました。

2つ目は薬剤師のコミュニケーションの学習機会です。

医療行政の動向やその背景については厚労省からの情報発信や講演会で、薬局が取り組むべき課題については研修認定薬剤師制度や健康サポート薬局研修で示されているものの、課題解決の際に求められるコミュニケーションについては、

「積極的にコミュニケーションをとっていきましょう」

という抽象的なメッセージに留まっています。
また、ここで求められるコミュニケーション術を学習する機会は皆無と言えるのではないでしょうか。

まとめますと、

1つ目:コミュニケーションに対する自信が無い
2つ目:コミュニケーション力を開発する機会が無い

この2つより、

「薬剤師の実情に合った学習機会が無い事が、対人業務へのシフトの障害になっているのではないか」

と考え、「かかりつけ薬剤師育成プログラム」を制作しました。

 

■かかりつけ薬剤師育成プログラムの目指す所

かかりつけ薬剤師育成プログラムの目指す所は、単なるテクニックだけでなく、その背景にある目的・考え方を理解・納得する事で、コミュニケーションへの意欲が高まった状態です。

具体的には、体験学習を通して

・テクニックを学ぶ事で方法が分かり、
・目的・考え方を学ぶ事でその意義や理論に触れる。

事によりコミュニケーションに対するポジティブな意識を醸成します。
そしてポジティブな意識を持つことにより、学んだ技能を現場で実践し、その結果、行動変容に繋がっていくと考えています。

 

■ヒューマンスキル開発のテーマと内容

次にヒューマンスキル開発のテーマと内容について紹介します。

全4テーマの

・受講者が持つ課題とその原因
・研修内容(課題解決策)

をご紹介します。全4テーマの受講者がもつ課題を見ていきましょう。

 

課題1.伝えたい事が伝わらない

・お薬を順番に説明されても1つ目が何だったか忘れてしまう(患者)
・薬歴に書いてあるケアプランの記載内容の理由がどこにも書いていない(同僚の薬剤師)
・薬局から届いたトレーシングレポートが冗長でわからない(処方元)

などの実例があります。
これらに共通する原因は、

「思いつくまま言葉を発している事」

です。この解決策は、

「文章・言葉を分ける事で簡潔明瞭な話し方・書き方を実践する事」

です。研修では、とある症例を薬歴に記載するケースを用いて、

・患者にまつわる情報を種別毎に分類する(クラスタリング)
・分類毎に言えそうな事を考える要約(プロブレム抽出)

を体験的に理解し、情報を「分ける」事で「分かる」文章(薬歴)になる事を体感頂きます。

 

課題2.患者・処方元の気分を害する

・(お薬が足りないと電話した際)在庫は合っているので探していただけますか?と言われた(患者)
・今まで努力して改善してきたHbA1cの数値が一般的基準からすると高いと言われた(患者)
・トレーシングレポートに処方変更や中止を決めつけた様な文章が書いてあった(処方元)

などの実例があります。これらに共通する原因は、

「自分の伝えたい事(薬)のみに集中してしまう事」

です。この解決策は、

「相手の受け止め方から逆算して考え伝える事で、患者・処方元の納得を得る事」

です。研修では、相手の受け止め方から逆算する為の一丁目一番地である「受容」を、実際の服薬指導を想定したロールプレイングにより学習します。

 

課題3.前近代的な指示・指導をする

・部下・後輩に業務内容を伝えたが指示した以上に動いてくれない
・「まずは行動に移して、失敗して学ぶ事が大切」
・「そんなやり方でやったらダメよ!」

などの実例があります。これらに共通する原因は、

「自分が若手・新人時代に受けた指示・指導内容を前提に指示・指導をしてしまう事」

です。この解決策は、

「現代の新人・若手の性質を前提に指示・指導をする事で部下・後輩の主体性を引き出す事」

です。研修では、

・指示の目的背景を伝える大切さ
・事実共有→評価共有→提案の順で行う事で部下・後輩が受け入れやすい指導となる事

を実習やロールプレイングにより学習します。

 

課題4.他職種との対話が上手くできない

・薬剤師の言うことは分かるけど患者さんの実情からすると受け入れてもらい辛い
・患者の意向は考慮されず、薬剤師とケアマネの役割分担が話し合われている
・薬局の薬剤師が在宅医療において何をしてくれるのかがわからない

などの実例があります。これらに共通する原因は、

「文脈を考慮せずに話している事」

です。解決策は、

「話し合いの目的や経緯といった文脈を踏まえた上で話す事」

です。研修では、

・連携の本来の意義と他職種とのゴールの共有
・他職種との対話に適した提案・対話内容

を実習や他職種との連携場面のケースにより学習します。

 

当日のウェビナーではより詳しい研修内容や実際の受講者の感想についてもお話させて頂きました。

今後も「対人業務の対応力向上」に関する様々なテーマをウェビナーで実施する予定です。是非、ご期待下さい!