2019年度「かかりつけ薬剤師育成プログラム」研修アンケート報告

今年度リニューアルを行いました

「かかりつけ薬剤師育成プログラム」

ですが、本年もお陰様で約1,000名の薬剤師の方に受講頂きました。

昨年度と同様に受講者の皆様には研修受講後にアンケートに回答頂いており、今回はその集計結果から、見えてきた傾向と今後の課題について書かせて頂きます。

まず、アンケートの内容についてご紹介します。
昨年度と同様にアンケートは、

①各セッションについての評価・感想
②研修内容全般の評価・感想

に関する質問から構成されています。

①については研修テーマ別に異なり、②は全研修共通の質問になる為、
今回は②のデータから見える傾向に焦点を当てます。

②は下記6つの質問から構成されています。

Q1:事前期待(研修に期待していたか)
Q2:研修評価(研修に参加して良かったか)
Q3:知識習得(新たな知識・スキルが身についたか)
Q4:役割明確化(やるべきことが明確になったか)
Q5:実践確度(学んだ事を実践できると思うか)
Q6:後輩へのお勧め度(この研修を後輩にも受けさせたいか)

なお各質問は4段階評価です。(肯定的な回答が4、否定的な回答が1です)

今回は上記アンケート回答結果を、

1.年代別
2.新卒 or 中途
3.一般 or 管理薬剤師

の3つの切り口で集計し傾向を分析しました。

それでは「1.年代別」の傾向を見ていきましょう。
下記の表をご覧下さい。

 

年代別に各質問結果の平均値を出しました。
このデータより2つの傾向が見えてきました。

1つ目は、
Q1:事前期待の評価は30・40代を中心としたV字傾向であり、その他の項目の平均値も30代が最も低く、40代が次点、と同様の傾向でした。
研修アンケートのコメント欄には「業務が忙しい」「店舗で実践する余裕がない」等の記載が見られ、30代は業務多忙によりモチベーションが低下している可能性があります。

2つ目は、
Q5:実践確度を除く全ての項目の評価で50・60代が最も高く、30代が最も低い結果でした。
昨年度も50・60代の評価は高い傾向にありましたが、今年は昨年以上に高く、コミュニケーションへの
前向きな傾向が顕著でした。

この2つの傾向から、昨年とは異なり、一概に中高年層になるとコミュニケーション研修に否定的な受講者の割合が増える、とは言い難い結果となりました。上述しました通り、業務や責任が集中している年代の余裕の無さが背景にある様な印象です。

次に
「2.新卒 or 中途」
「3.一般 or 管理薬剤師」
の傾向を見ていきましょう。下記の表をご覧下さい。

このデータからは2つの傾向が見えて来ました。

1つ目は
2.新卒・中途において全ての項目の評価は 新卒>中途 でした。

昨年度も同様の傾向はありましたが、今年度はよりその傾向が鮮明となりました。
新卒採用者への持続的教育の効果を裏付けています。

2つ目は
3.一般・管理薬剤師別において、Q6:後輩へのお勧め度 以外の全ての項目の評価は 一般>管理薬剤師 でした。

こちらも昨年度の傾向がより鮮明になっています。
年齢別の1つ目の傾向と同様に業務多忙がモチベーションに影響を与えている可能性があります。
また、Q6が一般よりも高い評価となっている点は部下・後輩に対する課題認識の現れの可能性があります。

 

ここまでの話をまとめますと、薬剤師のコミュニケーション研修において、

①昨年に比べ年齢との因果関係があまり見られない。(業務や責任の集中度合いの高い年代がモチベーションが低い)
②個人の状況(新卒・中途、一般・管理薬剤師)との因果関係が見られる。

という事が言えそうです。

薬局ビジョンが発表されてから4年強、薬剤師の今後の業務において対人業務・コミュニケーションの重要性は各世代に十分に認知された様に感じます。
現在はその次の段階、つまり研修で学習したコミュニケーション術を実践できる環境にあるか否か、その捉え方が評価に影響を与えているのかもしれません。

今回は30代・管理薬剤師の方々の評価が最も低い結果となりました。
アンケートに記載されたコメントから、その背景に業務多忙があることは間違いないと考えています。
研修効果を高めていく為には、研修内容の質的向上と共に

「対物業務の効率化と非薬剤師へのタスクシフト」

が求められます。0402通知が発表されてから早一年、対物業務の非薬剤師へのシフトはどの程度進んでおられるでしょうか。
また対人業務においても「餅は餅屋」の視点で捉えると、非薬剤師が従事した方が良い業務(処方元対応や施設在宅への対応など)は沢山あります。
上述した業務に精通したスタッフ(元MR・MS)を採用し、従事させる事も必要になってきます。
4月に改定される調剤報酬に対応する上でも、これらは重要な課題と言えるでしょう。

弊社では後者の課題に対する新たなサービス提供を行う予定にしております。
改めて本ブログで発表させて頂きます。乞うご期待下さい。