研修内容の実践事例~2年目研修~

前回のブログでは1年目研修の実践事例をご紹介させて頂きました。

今回はかかりつけ薬剤師育成プログラム2年目(心理的コミュニケーション研修)のご参加者が研修後に職場で実践した事とその成果の一例をご紹介致します。

2年目研修のテーマは

「薬局実務における心理的コミュニケーション(気持ちに「寄り添う」コミュニケーション)」

です。研修内容の詳細はブログ「2年目研修」をご覧頂ければと思います。

(例1)

普段口数の少ない患者様への服薬指導の際、患者様の言葉に対してオウム返しや共感の言葉を適宜行ったことで、実はいつものお薬の服薬方法で困っていることがあるとお話してくださり、解決する事が出来ました。

(例2)

高齢の方・お子様連れの方への服薬援助の際、聞いた事をメモしながらオウム返しをした事で、「そうですね」等で終わらせてしまっていた時に比べ、ドクターに言われた事などをお話して下さるようになり、その後の会話を続けやすくなりました。

→これらの事例は「オウム返し」と「共感の言葉(共感的理解)」を行うことで、薬剤師が患者の話の内容を「理解している」事が伝わり、患者が「この薬剤師にもう少し話してみたい」と感じた事で、服薬上のお悩み解決や患者情報の収集に繋がった例です。

 

(例3)

風邪薬をお求めのお客様より「風邪に良く効く薬を下さい」と言われ、お客様の状況を確認しつつ「頷き」「あいづち」を行う様にしたところ、生活習慣等についてもお話してくださり、生活習慣に合わせたお薬をご提案できました。お客様からも「ありがとう」のお言葉を頂きました。

→この事例では「頷き」「あいづち」を行う事で、お客様が「熱心に聴いてもらえている」心地よさをを感じた結果、お客様が自らの情報を話してくれたことで内容を踏まえ、実情に合った提案が出来た例です。

 

(例4)

いつも同じ薬を服用されている患者様へ薬効の説明をしたところ、

「わかっているから必要無い」

とご指摘を頂きました。よくご存知であるにも関わらず再度説明してしまった事へのお詫びをした上で、いつも服用している薬に間違いがないかご確認頂きたい旨をお伝えしました。その結患者者様にもご納得頂き、継続治療・服用をして頂く事を確認することができました。

 

→この事例では、

・患者様の(いつもと同じ薬である事を理解していない薬剤師に対する)苛立ちに対してお詫びした事
・薬剤師の意図(服用された薬に関する確認)を説明した事

の2点より患者様の納得感を引き出した例です。特に後者に関しては、目的や意図を伝えずに質問すると、質問された相手は不信感を抱く事が多いので注意が必要です。

 

かかりつけ薬剤師となる為には今まで以上に患者情報を集める必要があります。
しかし、患者は医師に対して自分の症状・状況を細かく説明をする一方、薬局は「お薬を貰う場所」であり、薬剤師に向かって改めて自分の事を話す必然性を感じる方は少ないのが実情です。
この様な実情を所与のものとし、患者との信頼関係を築いた上で情報収集する為には、

「薬局実務における心理的コミュニケーション(気持ちに「寄り添う」コミュニケーション)」

が弊社では重要だと認識しています。

次回ブログでは3年目研修「後輩指導の際のコミュニケーション」
(論理・心理を踏まえた世代間のコミュニケーション)

の現場での活用事例をご紹介致します。次回ブログもご期待ください。

「かかりつけ薬剤師育成プログラム」リニューアル