新型コロナ感染拡大の影響で、例年以上に多くのイベントがオンライン上で実施されています。
その様な中、先日健康博覧会&Care Show Japan 2021のオンラインセミナーに参加しました。
今回はオンライン形式のセミナーに対して感じた事とその内容について書かせて頂きます。
まずオンライン形式のセミナーについてですが、参加手順と視聴方法をご紹介します。
開催者から送付されたURLにアクセスする事でセミナーを視聴出来ます。
今回は特定のアプリ(Zoom等)のダウンロードは不要でした。
既に撮影された動画を視聴する形式で、一時停止やシークバー(データの再生箇所を表示する機能)の調整も可能であり、聞き逃した部分やもう一度見たい箇所を再度視聴する事が可能でした。
昨年までは実際に会場に赴き聴講していましたが、それに比べてオンラインセミナーでは、
・開演前に並ぶ必要が無い
・スライドも画面表示の為見やすい
(スライド送りが早く理解が追いつかない事や、スライドが遠くにあり細部が見えない事は無い)
・メモが取りやすい
(昨年までは椅子のみでメモが取りづらい事が多々あった)
など、利便性が向上した様に感じました。
次にセミナーの内容についてですが、
今回の演者はファルメディコ(株)代表取締役:狭間 研至さん、
演題は
薬局経営3.0 ~with coronaに効きafter coronaにつなげる3つの処方箋~
でした。特に印象に残ったテーマは、
「COVID-19がもたらした医療業界への影響・患者の意識の変化」
「今後の薬剤師・薬局に求められる変革について」
の2点です。
「COVID-19がもたらした医療業界への影響・患者の意識の変化」では、
・コロナの影響により、医療機関の待合室が3密の代表となりできれば行きたくない(でも薬は欲しい)という患者の意識傾向や、暫定処置として出された0410通知、オンライン診療・処方から、実は不要・不急であった診察(薬さえ貰えれば問題なかった)が存在していた事が炙り出された。
・その結果、患者の導線が今までは病院に行ってから薬局で薬を受け取っていたが、薬局に直接薬をもらいに行くケースが増加した。
・今まで門前薬局で受け取っていた薬も病院に行かないと別の薬局で受け取るという選択肢が出来る。敷地内・門前という立地は患者が病院に行かないと優位性が無い。
という様なお話がありました。長年続いた立地神話の崩壊を感じさせます。
次に「今後の薬剤師・薬局に求められる変革について」では、Withコロナの環境下で健全な薬局経営の為の3つの処方箋について下記の様なお話がありました。
処方箋1.患者をよく観察する。
医師は患者の調子が良ければ同じ薬を処方する。新たな症状の原因は新たな病気と考え、新たな薬を処方する。この様な事象が処方カスケードに繋がっている。これを防ぐ目線を持っているのは薬剤師。
今、薬剤師は薬の情報を患者に丁寧に伝えているが、ICTの発展により、じきに薬剤師がやる必要が無くなる。従って今後は、大学で学んだ専門性を活かして服用後フォローやアセスメントを行い、その内容を医師へフィードバック(処方提案)する事が期待されている。
処方箋2.思い切ってチャレンジする
患者は薬が買いたいのでは無く、症状を直したい。単に薬を渡すのでは無く、薬剤師がフォローする事で立地・利便性を上回る薬局選びの基準を作る。
流れは確実に変わっている。今までの制度・業界から飛び出してチャレンジする必要がある。
薬剤師は今でも残業しているのに、服用後フォローは時間的には難しい。そこで、まず業務内容の書き出し・分類を行い、その内容を踏まえITCを活用する。
本来ならば薬剤師は専門性が高い業務に従事すべき。現状は、業務的な重要性が高く、薬学的な専門性が低い仕事への対応が多すぎる。
その背景には薬剤師以外の職種をパート等で採用するから、常勤である薬剤師が対応せざるを得ない実態がある。
・患者の状態を知る為の教育(知識・技能・態度)
・患者を良くするためのシステム(時間・気力・体力)
を経営者が作っていかないと薬局経営は変わっていかない。
3.自らのWhyを確認すること
薬剤師を目指したWhyは?
多くの方は患者に薬を渡したかった訳では無く、健康になってもらいたかったから。
対物から対人のメッセージは非常に大事。
組織としての価値観をはっきりさせる必要がある。
薬剤師が患者に薬を渡すまででは意味がない。
服用後のフォロー、その結果を医師にフィードバックし、処方の適正化に繋げる。
調剤報酬改訂において調剤料が減ってフォローに点数が付いた事からも、業界全体がどのような方向性に向かっているのか、察しがつく。
この3つの処方箋のお話より、薬局業界が置かれている状況や、今後期待される薬剤師の役割について再認識すると同時に、
で取り上げた内容に間違いがなかった事を確信しました。
なお本セミナーは、現在も聴講登録をする事で視聴可能ですので、ご興味のある方は検索頂ければと思います。
最後までお読み頂き有難うございました。