地域包括ケアEXPO2019

先日リード エグジビション ジャパン様主催の地域包括ケアEXPOに行って参りました。
今回から新設された薬局フェアを中心に出展ブースと併催されたセミナーを見学しましたが、地域包括ケアEXPOの名の通り、今後の地域医療に関する様々な取組について紹介されていました。

今回のブログでは私が会場で感じた事とセミナー内容について書かせて頂きます。

まず薬局フェアの出展ブースに関してですが、正直な感想として過去のイベントと比べ、大手予備校や業界で著名な方のブース等、薬剤師に特化した出展は増えているものの、それでも他業界のそれに比べると出展数が少ない印象を受けました。

先月のブログに記載いたしました、日本保険薬局協会の勉強会(登壇者は経産省の方)での、

「現在医療と他サービスでは
・情報の共有ができていない。
・法律が複雑
等のカベがあり、ベンチャー企業が医療関連に入りづらい。」

という話を踏まえると、やむを得ない事なのかもしれません。

一方、上記の様な背景の下で出展されている企業の取り組みを覗いてみると、薬局で取り扱うサプリメント・健康食品が数多く紹介されており、処方箋以外の患者接点を持つ取り組みへの関心の高さを感じました。

また、病院と薬局での情報共有の為のツールもここ1年程で増えた様に思います。
過去参加したセミナーでも度々触れられていましたが、医師の働き方改革に伴う薬剤師へのタスクシフティングへの関心は業界全体として高く、薬局には他医療機関とのコミュニケーションがこれまで以上に求められていると感じました。

次にセミナーに関してですが、
今回参加した複数のセミナーの中から2つご紹介します。

1.標準薬物治療の為のフォーミュラリーとその事業化に向けて

日本調剤株式会社
増原 様

「後発品での医療費の削減は頭打ちであり、更なる削減の手段としてフォーミュラリーがある。」

というメッセージから、
フォーミュラリーの必要性や導入事例、導入までの課題についてのお話でした。

「米国では全体の68%が厳格にフォーミュラリーマネジメントされている。
日本の様に、医師が「この薬を使いたい」という処方は無く、薬剤師が疑義照会無しで変えられる制度もある。」

「病名も分からないような状況で多剤の改善はできない。病院のカルテを見る事ができる環境は必須である。」

この2つが非常に印象に残りました。
今回は医療費の削減に関連してのお話でしたが、2つ目の病院から薬局への情報共有に関しては多くのセミナーや書籍で目にします。

「薬剤師に求められる役割は増えているのに、なぜ与えられる情報が変わらないのか」

というお話も度々耳にします。
地域包括ケアや先述した医師の働き方改革等、病院と薬局の情報共有の必要性は高まっていますが、現状大きな変化は見られません。
その要因は必要ではあっても、必然とそうなる仕組みになっていない事かもしれません。

フォーミュラリーの導入やそれにあたってのガイドラインの策定は、病院と薬局の
情報共有の必然性の後押しになるのでは、と感じました。

2.次世代薬局の在り方とは

ファルメディコ株式会社
狭間 様

「お薬を渡すまでではなく、飲んだ後までフォローすることで薬物治療の質は飛躍的に向上する。」
「医薬分業から医薬協業へ」

この2つのメッセージから、
今後の薬剤師の役割、医師からのタスクシフティングについてのお話でした。

「医師から薬剤師へシフトできるのは薬物治療管理業務。薬剤師が服薬後のフォロー・評価をすることで診察回数を減らす事もできる。」

このお話が印象に残りました。

医師の働き方改革に伴うタスクシフティングについては先述の通り、業界全体の関心が高いことは私も感じておりました。
今回のセミナーでは薬剤師の専門性、学校で学んでいる内容から、実際にどのようなタスクシフティングができるのか、とその効果について言及されており、狭間様の考えられているタスクシフティングの方向性が具体化され、非常に勉強になりました。

また、服薬後のフォローの時間をどう捻出するかについても、現在の薬剤師が従事する業務の実状(業務の重要性は高いが、専門性は低い業務の割合が多い)から、AI化・0402通知についてもお話がございました。

出展ブースの雰囲気、セミナーを通じて今後益々薬剤師の専門性を活かした対人業務への移行は進んで行く事が感じられる3日間でした。
本内容が皆様の今後の取り組みのご参考になれば幸いです。