H30年度の新入社員の傾向と対策

業界にとって節目の年になるだろうH30年度が始まりました。
弊社はこの4月、多くの薬局・ドラッグストアの新人研修を担当させて頂きました。
節目の年に業界に飛び込んできた新人さんの多くは、期待と不安を抱きつつ真面目に研修に参加されていましたが、例年とは違う光景を目にする事が多々ありました。

そこで今回は、研修を通じて感じた新人薬剤師の傾向と対策について書かせて頂きます。
結論から言いますと、

1.訊ねるより調べる傾向が強い
2.学習内容を他に活かす事が苦手

という2つの傾向がありました。

まず1つ目の傾向を見てみましょう。
ネットの普及から、最近の若年層では

「分からないことは調べる(検索する)」

人が多い様です。普段から持ち歩く端末(スマートフォン・タブレット等)から気軽に調べることができ、答えがある事象に関しては解答、若しくはそれに近い情報がネット上には必ずといって良い程存在している事も一因でしょう。

研修の中では講師に対して受講者が質問できる場面がありましたが、そこでの質問回数は例年に比べ半分程度でした。

組織の中にある業務は、指示した上長・先輩の意図、会社方針など業務の背景等唯一絶対の答えが存在しない場合も多く、その為、ネット上を調べても「これで間違いない!」と確信を得る事は難しいのです。

業務上で相手の期待に応える為には、指示された業務の意図・背景を上長に確認する事が重要ですが、先述の環境下で育った方は自分で調べた後、分からなければ他者に訊ねる事無く、自己判断で行動する傾向が強い様に感じます。

その結果として、上司・先輩から

「私の期待した事ではない!」
「言われた事しかやらないんだね・・。」

と感じられてしまうのです。
では、どう接すれば良いか。上長・先輩側の対策として、

“業務の目的・背景を伝える事”

です。一般的に部下・後輩に仕事を指示する際は、

①何を(What)
②どの様に(How)

は伝えますが、

③背景・目的≒期待(Why)

を省く場合が多いのです。

「なぜ、目的も分からず進めたんだ!」

という新人への指摘は上記の傾向よりナンセンスです。
What・Howだけでなく、Whyを丁寧に伝える事が新人の傾向における有効な対策となります。

次に2つ目の傾向を見てみましょう。

とある実習後に個々人が振り返りを発表する際に、

「私はある科目で習った事を、別の科目で実践する事に慣れていない」

という主旨の発言をしている方がいました。
学生時代の勉強方法、例えば数学は数学、国語は国語というようにその科目の学習内容はその科目の中でのみ使う認識があるようです。
実際に研修の中でも、「目的確認」という実習で学んだ事を、別の実習では活用しない場面が多く見られました。
「一問一答」的な学び方に慣れているのかもしれません。
言い換えれば、学習した事を応用する発想に乏しいのです。

では、どの様に対応すれば良いでしょうか。上長・先輩側の対策としては、

一度指導した内容を別業務の指導の際にも省略せず伝えていく事です。

「この前、言ったから分かっているだろう・・」

という発想は厳禁です。人を見て法を説く精神で接する事が大切です。

毎年この時期は研修を通じて多くの新入社員と接点を持ちますが、毎年異なった傾向が見られます。
その背景には育ってきた時代環境の違いがあります。
上記2つの傾向の良し悪しを論ずる事に意味はありません。所与の事として捉え、如何に対応するかが受け入れ側の責務です。

ダーウィンの進化論に「変化する者が生き残る」という一節がありますが、変化する新人に適切に接する事が出来る組織が生き残ると言っても過言ではないでしょう。

本ブログが今年度新入社員の方々の健全な成長、そして皆様の組織の更なる発展に
寄与すれば嬉しいです。