9月になり、時々、鈴虫の鳴き声を耳にするようになりました。
今年の夏は、天候も気温も目まぐるしく変化し、「8月の真夏感」をあまり感じられなかったなあ…、と少し寂しく思います。
世界中が異常気象で、過去の想定を覆されることばかりです。
気候だけではありません…。
今年に入って、ウクライナ侵攻もあり、世界情勢も激しく変動しています。
そしてまた、日本の経済情勢も混沌としております…。
2021年度の薬局の倒産件数は23件で、過去最多を記録しました。
新型コロナの流行が始まった2020年から急増し、ずっと高止まりしています。
経営環境の悪化を背景に、大手チェーンによる中小薬局のM&Aも進んでおり、2021年度は36件のM&Aがありました。(日本経済新聞2022/6/10記事より)
大手と比較すると、中小薬局は薬剤師の従業員が少なかったり、在宅訪問などのかかりつけ薬局業務に手が回らなかったり、といった背景も影響しているものと思われます。
中小薬局の経営者の皆様からのご相談では、
薬局業界の動向
薬局のコンプライアンスの取り組みの現状
日本医療機能評価機構は、この4月に共有するべき『薬局ヒヤリ・ハット事例』を公表しました。
具体的事例としては、
・服薬相談の際に併用不可のOTC薬を「併用は問題ない」と回答してしまった事例
・小児患者に対しての薬の過量投与で、小児が緊急入院した事例
などです。また、昨年末に処方箋なしの患者に薬を販売していた沼津市の薬局が行政処分をうけたことは、記憶に新しい出来事です。
「病院が休みの日など、辛そうな患者さんの様子を見てつい薬を販売してしまった」
との話だそうですが、決してあってはならない法令違反事例です。ご承知の通り、2021年8月、薬局事業において、「薬局開設者等のガバナンスの強化」が義務付けられました。薬局経営者の皆様にとっては、法令遵守体制の整備に向けて、新しい組織体制構築に慌ただしい1年であったと存じます。
日本保険薬局協会が実施した19社の企業アンケートをもとにまとめた『コンプライアンス実践事例集』に、様々な取組み内容が報告されています。ほとんどの企業では、経営トップ主導でコンプライアンスに関する指針を明文化し、コンプライアンス規定を作成したり、全社員にハンドブックを配布したりしています。
また、調剤過誤、調剤インシデントについては、より迅速に経営トップに共有され原因分析できるよう、社内イントラネットを活用したり、専門委員会を設置したり、定期的にヒヤリ・ハットミーティングを実施する企業など、各社各様に力を入れている状況です。
冊子を読んでみて、各社、体制構築(ハード面)の整備はとても具体的な取り組み事例が多く参考になることが多いと感じました。ソフト面(理念の浸透、コンプライアンスに対する意識の高い企業風土醸成)は、経営トップからの定期的な社員への発信、社員研修の実施の事例が複数社ありました。
弊社かかりつけ薬剤師育成プログラムの「管理薬剤師の実務」研修では、法令遵守における管理薬剤師の責務について取り上げています。法令遵守の企業風土を醸成する為には、管理薬剤師業務の関連法規を再確認する事を通して、管理薬剤師の方々の意識付けが重要となります。
また、弊社ホームページのウェビナー動画「5.政策動向への対応」(https://www.ptc.co.jp/pharmacist/movie/index.html)に、法令遵守に関する動画(1本目:2つの法令違反事例 2本目:薬局の法令遵守の取り組み事例)を掲載しております。併せてご視聴頂ければ幸いです。
「コンプライアンス社内規定やマニュアルも作ったけれど、社員への浸透をどのように進めたらよいのか?」
お悩みの薬局経営者の皆様には、是非とも弊社にお問い合わせ頂ければ幸いです。
調剤報酬改定と薬局の在宅医療の実状
新緑の爽やかな空気が心地よい季節となりました。
最近は、燕などの様々な野鳥が巣づくりにせわしく飛び回っている姿を目にします。鳥たちも忙しく飛び回っているのだなあ…、と少し勇気づけられております(⌒∇⌒)
さて、2022年度調剤報酬改定では、薬局薬剤師に期待される機能がより具体化された改定内容となりました。
・対物業務と対人業務で点数が再編されたこと
・地域支援体制加算が上位の点数を新設し4区分となったこと
・医療・多職種連携の業務が評価されるようになったこと
などが挙げられます。
より一層の対人業務への注力はもとより、今回の改定では、特に地域支援体制加算において、算定要件に「実績」が求められる方向性になりました。
地域支援体制加算1(39点)では、在宅薬剤管理の実績が24回以上/年に引き上げられました。更には、地域支援体制加算1の要件を満たし、更に相当の実績がある薬局は、地域支援体制加算2(47点)を算定できることとなり、点数も9点と大幅な引き上げになりました。
調剤基本料1以外の薬局についても、年12回以上だった個人宅の在宅薬学管理の要件が24回以上に引き上げられ、地域支援体制加算3も新設されました。
この4月以降、在宅医療に積極的に取り組まれる薬局が増え、弊社におきましても、このテーマのご相談を受ける事がかなり増えてきました。
実際の現場では、皆頭では分かっていても、なかなか足を踏み出せなかったり、踏み出しても壁(例:患者、処方元、他職種の薬剤師の在宅業務に関する認識不足)にぶつかってしまう事が多く、難しい状況が多いようです。
なにより、在宅訪問管理指導についての経験や知識も「これから」という状況ですから、まずは、活動できる為のしっかりとした準備が必要です。
弊社では、「在宅医療の実務(患者理解と多職種連携)」というプログラムでご支援させて頂く事が多いです。
以下、プログラムの概要となります。
「在宅医療の実務(患者理解と多職種連携)」
https://www.ptc.co.jp/pharmacist/technicalskill-4.html
「暮らしが先に来る」思考・「多職種連携」をベースとした、在宅訪問管理指導の具体的な実践方法を学習していきます。医療連携で必要な知識/技術の理解を促し、自己の課題を明確にしていきます。新規に在宅訪問依頼を受けたときの具体的対応の手順を学習します。
また、多職種連携をスムーズにする為には、他職種とのコミュニケーションギャップを無くす事が重要です。
本研修ではコミュニケーションギャップを防ぐ為の考え方、方法論(例:チェックフローチャート)も学習していきます。
こちらのプログラムのより具体的な内容について、動画配信をしております。弊社ホームページ、先月のグログよりアクセス可能となりますので、ご興味がございましたらば、是非ご視聴していただければ幸いです。
痒い所に手が届くようなセミナーを企画しております(⌒∇⌒)
今後も、皆様にお役立ていただける情報を発信してまいります。
『処方元・他職種連携に求められる事』動画のご案内
早いものでもう師走目前。クリスマスムードが徐々に高まってきている今日この頃。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
今回のご案内は、気温同様に少し寒いお話になってしまいますが、信用調査会社「東京商工リサーチ」の調査によりますと、21年1~8月に保険調剤薬局の倒産は22件に上り、前年同期比で83%以上増となったそうです。
コロナ前までは、経営を維持する為に必要な受付回数が確保出来ていた薬局も、コロナ禍においては、受診抑制や長期処方の影響により、厳しい状況になっています。
薬局業界を取り巻く環境が激変している今、生き残るための戦略的経営が求められています。
新規処方箋を獲得する活動が求められている現状において、これまで以上に、処方元や多職種との連携を図ることが必要になってきました。地域医療に貢献し、『選ばれる薬局・薬剤師』になるために、薬局経営者・管理マネジャーの皆様・薬剤師の皆様が暗中模索のことと存じます。
この様な難しい課題に取りくまれる皆様に、微力ながら少しでもヒントにしていただけるのでは?との想いから、
ウェビナー『処方元・多職種連携に求められる事』の動画を、YouTube上でご視聴頂ける様に、動画(二本立て)を掲載致しました。
一本目は、「コロナ禍における環境動向と課題」(7分強)
二本目は、「処方元連携・多職種連携に求められる事」(30分強)
となっております。
一本目は、コロナ前からコロナ禍の環境動向の中で、薬局が向き合うべき課題
二本目は、課題解決の為には、処方元・他職種連携の「体系立てた活動」の必要性
を解説させて頂いております。
ご興味のある皆様に、是非ともご視聴頂きたいと思います。
『薬局の法令遵守体制整備に求められる事』動画のご案内
夏の蒸し暑さからはすっかり解放され、肌寒くさえ感じる今日この頃。早いもので、もう来年のカレンダーを準備する時期になりました。今年度は、コロナ禍のなか、オリンピックの開催~米国軍のアフガニスタン撤退~岸田新内閣の誕生…と目まぐるしく日々情勢が変化しています。
「変化」という視点で薬局業界を振り返りますと、今年8月より改正薬機法が施工され、薬局事業において、「薬局開設者等のガバナンスの強化」が義務付けられ、「認定薬局制度の導入」が始まりました。薬局事業を取り巻く環境変化はめまぐるしく、この変化に対応するべく企業内での取り組みにご尽力されている方も多いかと思います。
とはいえ、「ガバナンス強化」といっても、実際には難しい課題がたくさんあり、容易に成し遂げられる課題ではありません。
そこで、「薬局組織内においては、どのように対応していく必要があるのか?」のヒントにして頂けるように、弊社では本テーマについてのウェビナーを、5月・6月と2回にわたり開催致しました。
『薬局の法令遵守体制整備に求められること』というテーマでのウェビナーになります。
本ウェビナー開催は、今年度実施した様々なウェビナーの中でも、参加数が最も多いウェビナーとなりました。いかに、皆様の関心の高いテーマであるか!を実感した次第です。
そこで、今後の薬局経営の組織づくり・教育計画立案のご参考にして頂きたく、『薬局の法令順守体制整備に求められること』のウェビナーを、YouTube上(https://youtu.be/xNDQo8kZNEo)でご視聴頂ける様に、動画を掲載致しました。
ウェビナーにご参加できなかった皆様、ご興味のある皆様に、是非ともご視聴頂ければと思います。
オンラインセミナー『改正薬機法・法令遵守体制の整備のポイントとは?』概要
先日開催しましたオンラインセミナー(以降ウェビナー)
~薬局の法令遵守体制整備に求められる事~
改正薬機法・法令遵守体制の整備のポイントとは?
では多くの方にご聴講頂き、
「過去の法令違反事例について改めて認識するとともに、法令順守体制の構築の重要性についても理解できた。」
「開設者や責任役員が果たすべき役割だけでなく、全従業員が法令遵守を当たり前に考えられるような企業風土を醸成しなければならないと、これまで字面では理解していたが、その重要性について、強く共感させられた。」
「“企業風土の醸成”、不祥事の発端も改善に向けての苦労もそれに尽きるのではないかと思いつまされた。」
という感想を頂きました。
そこで今回から2回に分けて、上記ウェビナーの内容の一部をご紹介させて頂きます。
アフターコロナにおける薬局への期待と課題
新型コロナウイルスの影響による受診抑制や0410対応により、
・電話再診
・FAX処方箋
・長期処方
が増えてきました。
コロナ前後では患者さんの行動に変化の兆しが見えます。
ビフォーコロナにおいては、かかりつけ薬剤師制度が開始して約4年余り経過したものの、依然として医療機関での診察後に門前薬局でお薬を貰う習慣は根強く残り、制度自体の認知もあまり進んでいない現状がありました。
しかしアフターコロナにおいては、0410対応や新たな生活様式により、
「自宅の近くの薬局で薬を受け取る」
という選択肢に多くの患者さんが気づきました。
この様な患者さんの変化は、改めて薬局への期待を考える絶好の機会とも言えるのではないでしょうか。
そこで今回は、アフターコロナにおける薬局への期待と課題について
書かせて頂きます。
続きを読む
薬剤師向けリアル(対面)研修とオンライン研修の違いと学習成果
前回ブログ「薬剤師向けオンライン研修の準備」に続き、今回のブログでは、
対面形式の研修(以下リアル研修)
オンライン研修
の「違い」と「学習成果」について取り上げます。
それではリアル・オンライン研修の「違い」からみていきましょう。
薬剤師向けオンライン研修の準備
新型コロナ感染拡大の影響により、多くの業界にて業態や業務運営の在り方の見直しが迫られています。
弊社におきましても、打ち合わせは社内外共にほぼ100%オンラインで実施している状況です。
また、研修に関してもリアルからオンラインに切り替えて実施する事が増えていますが、その際に
「どのような準備をすれば良いでしょうか?」
「リアル研修時と同等の学習効果は得られるのでしょうか?」
というご質問を頂く事があります。
弊社では、オンライン研修において適性な学習効果を得る為には、
・研修準備
・研修運営
・研修後フォロー
の3つの視点で課題を整理する必要があると考えています。
既に多くのサイトで研修運営や準備について取り上げられているものの、実際にオンライン化を行う為には、各業態の実状に合わせたもう一歩踏み込んだ内容の検討が必要です。
そこで2回シリーズで、薬局の実状を踏まえた
・研修準備
・研修運営とその効果
の2点を取り上げたいと思います。
今回は研修準備、特に環境面の整備に焦点をあてます。
2020年度調剤報酬改定のメッセージと課題
新型コロナウィルス感染拡大を抑制する為に、私達一人一人には「新しい生活様式」へ移行する事が求められています。
アフターコロナの世界はどんな風景になっているのでしょうか。
ビフォーコロナの価値観や暮らし方とは一線を画す事は間違いないでしょう。
まさに古の教え
「変化するものが生き残る」
が全人類に求められています。
そんな中、新年度がスタートして1カ月が経ちました。
薬局業界においても「対物から対人」への移行を企図し、昨年度の0402通知や改正薬機法に続き2020年度調剤報酬改定が発表されました。
本改訂の評価として、
「外枠での引き下げが無く前回改定と比べ大きなインパクトでは無かった」
という声がある一方、
「次回改定では調剤報酬の一本化や薬局機能認定制度による算定基準へのシフトが見込まれており、2年後に向けて確実に変革の歩みを進める期間である」
という声も耳にします。
正に、薬局が生き残る為にも変化する事が求められています。
そこで今回は、本改定のメッセージと課題について取り上げます。