5月も終わりに近づき、
新人の方々が既に現場に配属された企業も多いかと思います。
現場に配属された以上、新人の方々の実務能力はもちろん必要なものですが、
自社に長く勤めてもらうことは社員の戦力化には欠かせないものであり、企業・先輩社員としての努力なくしては達成できない大きな課題です。
今回は薬剤師の離職率に関して書かせて頂きます。
弊社では多くの薬局・ドラッグストア様とお付き合いをさせていただいておりますが、
多く伺うお悩みの一つとして『離職率』に関するお悩みがあります。
具体的には・・
「教育・研修を行い、戦力となった新人が辞めてしまった。」
「2年目の社員が退職し、同店舗の他薬剤師の負担が増える。」
等です。
やむを得ない退職は勿論ありますが、戦力となった薬剤師の方の退職は企業として大きな損失です。
ではその退職の背景には何があるのでしょうか。
まず大前提として、
今現在薬剤師の方々が置かれている環境は売り手市場です。
職場を退職後に仕事が見つからないというリスクは他業種に比べ少ないといえます。
さらに、日本の薬局の数は5万件を超えており、自宅近辺に新しい職場を探す際にも候補は多く、
次の職場を見つけることも比較的容易と言えるでしょう。
退職・転職の際のリスクが少なければ、選択肢として選びやすくなります。
上記の前提を踏まえつつ、
離職の要因として最もよく伺う1つとその解決策をご紹介致します。
・職場の人間関係
離職率のお悩みを紐解いていくと、
離職した方は、特定の店舗所属であったり、特定の社員の部下 等共通点が見つかることが多くあります。
「特定の上司・先輩と合わなかった」から退職した。という理由です。
過去のブログ「新ホームページを立ち上げた経緯について」にも記載しましたが、
薬剤師の方がコミュニケーションの対象として見ているのは「患者さん」であり、
それ以外(対社内)へのコミュニケーションについて意識することは少ない様です。
つまり・・患者さんからの評判が良く、
「良い薬剤師」であっても新人の方からすると「良い上司・先輩」ではない事は多く有ります。
少人数の店舗である程、逃げ場がなく、当人にとっての大きな問題となり得る上、
「退職・転職の際のリスクが少ない」という前提を踏まえると、
人間関係改善の為に努力するよりも先に転職を選ぶ可能性は高くなります。
上記の解決策としては、
①特定の社員が新人の担当にならないよう配置する。
②先輩・上司となる社員が職場で必要なコミュニケーションスキルを身につける。
などが考えられます。
①は即解決が見込めますが、店舗・人員の状況によっては難しいことがあります。
また、薬局長や管理薬剤師を任せることのできる人材が増えていきません。
②に関して、詳細は
過去ブログ「薬局長・管理薬剤師の部下指導」
サンプルテキスト「「薬局長・管理薬剤師のスタッフ指導力向上研修」
にも記載がありますが、先輩・上司となる社員に「話したくなる聴き方」「受け入れやすい話し方」
といった対内的なコミュニケーションスキルを身に着けさせることで、
店舗内・社内の人間関係の改善を目指し、時間・コストは掛かりますが、長期的に企業として、薬剤師個人としての成長が見込めます。
離職に至る問題が発生しているのが店舗という密室内であることが多く、
退職者は相談の前に退職してしまう事も多い為会社自らが問題に気付く必要があります。
離職率0というのは難しいことですが、
企業の制度や現場の先輩社員の接し方一つで改善できる事でもあります。
企業や先輩社員の労力・コストは間違いなくかかりますが、
中長期的に見れば失った戦力を都度育て直す事に比べ効率が良いことも多く、
社員が長く勤めたくなる企業となることが企業・社員どちらにとっても良い結果を生むこととなるのではないでしょうか。