「研修で教わった通りに患者さんに耳を傾けたのに・・/上司に言われた通りに患者さん対応をしたのに・・ご指摘に発展してしまったんです」
全てではありませんが、そうなってしまった背景事情を紐解いてみると、
患者さんの言っている事、職場の仲間たちが行っている事(コト≒論理)にはシッカリと反応しているものの、
患者さんや職場の上司という人(ヒト≒心理)に反応して耳を傾ける事ができていなかったという事が多いようです。
前回のブログで記載した様に、
弊社では患者さんの実情に耳を傾ける方法論として2つに分類しています。
心理的傾聴と論理的傾聴です。
冒頭のお話はお気づきの方も多い事でしょう。
論理的傾聴が出来ていたけど、心理的傾聴に綻びがあったかも知れないという例です。
今回のブログでは「心理的傾聴」に焦点をあてます。
弊社の研修内では心理的傾聴に2つの手法を取り上げており、
その2つの概要をご紹介致します。
①受容
相手の存在そのものを受け止めるという想いを言葉に乗せる事です。
例えば・・・
今日の患者様は受診間隔からしてお薬が足りない日があったはず。
服薬コンプライアンスは守られていないのでは、と思い、
薬「お薬は間に合っていましたか?」
患「飲めない時もあったので間に合ってました」
薬「お飲みになれない時がおありだったんですね。
ちなみにお飲みになれない時の、何か思いつく原因はありますか?」
と『受容』をした後に服薬指導に活かす対話に臨んでいくというものです。
意外と私たちは『受容』を飛ばして、
「飲み忘れはよくないですよ!」と評価してしまいます。
プロフェッショナルとして間違った事は言ってはいませんが、
この発言は事(コト≒論理)に反応して、人(ヒト≒心理)の受容をせずに対話に臨んでしまったケースと言えるでしょう。
②共感
相手の発言に至るまでの幾つもの経験、つまり文脈に関心を持ち、耳を傾け、
聴いてみよう、理解してみようという想いを言葉に乗せる事です。
先程の①での事例を再度引用して・・・
薬「お薬は間に合っていましたか?」
患「仕事が忙しく、飲めない時もあったので間に合ってました」
薬「お仕事で忙しい中、飲み忘れなくお薬を続けて頂くのは大変ですよね。
ちなみに飲み忘れてしまう時は何か思いつく原因はありますか?」
と先程の『受容』に加えて相手の気持ちに関心を寄せた『共感』の言葉の上に服薬指導に活かす対話に臨んでいくというものです。
意外と私たちは『受容』及び『共感』を飛ばして、
「血圧のお薬は自覚症状に関係なく飲み続ける事が重要ですので、飲み忘れが無い様に気をつけて下さい」
というように患者さまの状況を分析して指導に臨んでしまうものです。
こちらも、事(コト≒論理)に反応して、人(ヒト≒心理)に反応をせずに対話に臨んでしまったケースと言えるでしょう。
以上2つの手法をご紹介致しました。
ここまでご覧になられて、
論理的傾聴のオウム返し、深堀、要約の特にオウム返しが受容に、オウム返しに
気持ちに寄り添う言葉を乗せれば共感になる・・、とお気づきの方もいらっしゃる事でしょう。
便宜上、弊社では分けて論理と心理と傾聴方法をご案内しておりますが、密接につながっているものであると改めて再認識頂ければと思います。
本内容が患者さんより「かかりつけ薬剤師」と認知される為の一助となれば嬉しいです。