先日リード エグジビション ジャパン様主催の働き方改革EXPOに行ってきました。
今回のブログでは私が会場で感じた事や、それを踏まえた薬局業界での働き方改革の展望について書かせて頂きます。
会場全体を見て回ると・・3種類のブースが目立っていました。
具体的には、
1.テレワークに関するブース(4割)
2.事務系業務の自動化・負担軽減に関するブース(3割)
3.職場環境の改善(インテリア・アロマ・掃除ロボット等)に関するブース(1割)
※その他ブース(2割)
の3つです。各ブースの特徴や感じた事を下記の様に書かせて頂きます。
1.テレワーク
最も多く目に入ったのは「テレワーク」関連のブースでした。
テレワークの為の通信ツール、セキュリティシステム、勤怠管理機能等働く人一人ひとりに合わせる為、勤務地・時間等制限の少ないテレワークは今後も全産業界で推進されて行くのではないか、と感じられました。
とはいえテレワーク・在宅勤務の薬局での実現は患者様・薬剤師・薬・設備、全て一ヵ所に集まる必要のある現状を鑑みると当面難しいと考えられます。
ネットで「薬剤師 テレワーク」で検索をしてみましたが、「薬剤師としてのテレワーク」ではなく「薬剤師資格を活かしたテレワーク」がほとんどという結果でした。
オンライン服薬指導が一般化すれば薬局からお薬の郵送を行い、服薬指導は在宅勤務の薬剤師が担当する・・等考えられますが、現時点では難しい様に感じました。
2.事務系業務の自動化・負担軽減
昨年の同イベントのブログでも触れておりますが、
「事務作業・経理作業のAI・システムを利用した負担の軽減」
は今後も続くと感じました。
この分野に関しては薬局業界でも他業界と変わらず進んでいく事が考えられます。
先月のブログでも触れましたが、2019年4月2日に厚労省より通知された
「調剤業務のあり方について」
においても、
「機械の使用や薬剤師の指示により他の従業者に行わせる」
「調剤機器や情報技術の活用等も含めた業務効率化のために有効な取組の検討を進める」
といった文言が見られます。
今回のEXPOでは全業界的に使用できるシステムが多く、薬局に特化したものはほぼ見られませんでしたが、自動化・AI化ができる、しやすい業務としては対物業務、という認識はどの業界でも変わりは無い様です。
一方で先月下旬、某ドラッグストア・薬局企業が社内Q&AにAIを導入した事が話題となりました。
将来的にはお客様からの質問への対応等活用を検討しているそうです。
このような話を聞くと、いずれ対人業務の一部もAIに任せる時代が来るのかもしれません。
しかし、某論文では
「高齢の慢性疾患患者は経済的・時間的な医療の効率化ではなく、丁寧な診察を求めている。」
という調査結果を目にしました。
「丁寧」という言葉の受け取り方は様々ですが、正確・効率的なAIよりも、自分に寄り添ってくれる医師・薬剤師を求める層がいる限りは対人業務の完全なAI化は難しいように感じます。
3.職場環境の改善
ここ数年で薬局業界に限らず様々な展示会に参加してきましたが、本分野に関しては導入済みの薬局が多いのではないでしょうか。
薬局関連の展示会でもインテリアグリーンやアロマ、アクアリウム等の展示ブースを多く目にします。
一般的なオフィスよりもお客様の来る「店舗」として、ドラッグストアであれば待ち時間に買い物・・等の選択肢がありますが、保険薬局では座って待つ事が多い為、待つ間の過ごしやすさに気を配った内装を取り入れている薬局が多い様に感じます。
以前弊社のお客様より、
「精神科の門前薬局では患者様の調剤内容が聞こえない様に音楽を流している」
といった事例を教えて頂きましたが、今回はオフィスに置く事のできる個人向けの防音室等の展示もあり、薬局にあれば便利なのでは?と感じるものも多く見られました。
今回展示会に参加した背景には、NPhA定時総会厚労省迫井審議官の「医師の働き方改革」という講話の中で、薬剤師の働き方にも言及されており、そこに興味を持った事があります。
「対物業務から対人業務へ」
「薬剤師の行う対人業務を充実させる」
等、薬剤師への期待は大きく変わっています。
一方で現場からは
「忙しくて・・」
「人が足りなくて・・」
という声も多く伺います。
今回展示会の多くのブースでは「業務の効率化」が主とされており、実際に導入されている業界・企業の事例も多く目にする事ができました。
人にしかできない業務へ注力する為の準備として、上記内容を本格的に検討する必要があると再認識しました。
本内容が今後の薬局運営の参考になれば幸いです。