【かかりつけ薬剤師育成プログラム便り第44号】「薬剤情報の説明が上手い」だけでは選ばれない~ 服薬指導に“心理”が欠かせない理由~

近年、「かかりつけ薬局」として選ばれる要因について、さまざまな議論がなされています。
制度対応や算定要件の整備はもちろん重要ですが、最終的に患者が判断する基準は、実際のところ、もっと感覚的なものだという検証結果が出ている様です。
(日本プライマリ・ケア連合学会誌2020,vol.43,『薬局薬剤師における共感性評価尺度の妥当性と信頼性の検討』参照)

患者が「ここをかかりつけにしよう!」と決める瞬間は、日々の何気ないやり取りの中にある様です。「薬局への満足度が高い患者を維持」しつつも、「不満や不安を抱えた患者を取りこぼさない」。その両方を実現するために、服薬指導に“心理”の視点を組み込むことは、とても重要になります。

例えば、

「この薬剤師は、自分の話をちゃんと聞いてくれるか」
「安心して相談できる相手か」

という事です。
つまり、患者の話をしっかりと傾聴し、受容(共感的理解)出来るか否か?
そして、特に注目すべきなのは、

「日頃、薬局への満足度が高くない患者ほど、「共感的に関わってくれたかどうか」を重視する傾向が強い」

という点です。
つまり、すでに薬局に対して満足している患者は、多少対応に差があっても、大きな影響は出にくい一方で、不安や不満を抱えた患者は、薬剤師の“対応姿勢”が、そのまま薬局選択に直結するという実情がある様です。

この実状を踏まえると、「何を言うか」より、「どう聴くか」の方がより重要ということになります。服薬指導といえば、「説明の正確さ」「情報量」「伝え方の工夫」に意識が向きがちですが、患者側の体験価値を大きく左右するのは、

「話を遮らずに聴いてもらえたか」
「不安を否定されなかったか」
「急かされず、安心できたか」

といった 心理的な関わり方がポイントとなりそうです。患者の話をしっかりと傾聴し、受容(共感的理解)することは、センスではなく“スキル”です。

つまり、コミュニケーション力(傾聴力・受容・共感力)は「性格」「経験年数」「向き・不向き」だけで決まるものではなく、心理学の視点から整理し、実践練習することで高められるスキルです。

選ばれる薬局・薬剤師になる為の、実践的なコミュニケーションスキルを高めていきましょう!

PTC版 服薬指導の際のコミュニケーション研修(心理編)(https://ptc.co.jp/humanskill-2.html)では、

•患者が「話してもいい」と感じる関係性の作り方
•本音や不安を引き出す聴き方
•満足度が低い患者ほど効果を発揮する関わり方

を、現場で使える形に落とし込んでいます。単なる接遇研修ではなく、服薬指導時の「患者心理を踏まえたコミュニケーション」スキルの向上を目指しています!

※弊社ホームページより、随時お問合せ受付中。