地域包括ケアにおいて、薬局勤務の薬剤師の重要な役割として在宅医療があります。
既にお取組みの企業様も多いのではないでしょうか。
今回のブログでは在宅医療の推進に向けて、現場薬剤師の懸念にどのように関わって行くかについて書かせて頂きます。
在宅医療については、
「積極的に取り組みたい!」
という声もある一方、
「出来ればやりたくない・・」
という声もお聞きします。
在宅医療に消極的な薬剤師の心の中には、何があるのでしょうか?
まず、在宅医療と通常業務の明確な違いとして「場所」が挙げられます。
通常業務は薬局内である事が多いと思いますが、在宅では患者さんのご自宅に伺う事になります。
例えば、
・訪問する患者さんの自宅が清潔感に欠ける
・患者さんの自宅で飼っている動物が苦手 等
薬剤師の「就業現場」でありながら、薬局としては直接関与するのが難しい状況があります。
他にも患者さんがご家族と暮らしているのであれば、患者さん以外の方との関わりが発生する場合があります。
ご家族は患者さんよりも不安になっている事も多く、薬剤師に対して厳しい意見や不満をぶつけられる事もあるとお聞きします。
また多くの薬局では在宅医療の担当はエリアで決めている事が多いと思いますが、
担当エリア内に1件でも不安や懸念のある患者さんがいる場合、在宅そのものが嫌だと話す薬剤師の方も多く、
対物時代では遭遇する事の少なかったコミュニケーション場面に対して上手く対応できず、無力感を感じる事で在宅医療に消極的になっていく方が多い様です。
では上記のような懸念を持った薬剤師の方へはどの様に接すれば良いでしょうか。
「仕事だから我慢をしてやって下さい!」
「では、在宅以外の仕事に就いてもらいましょう・・。」
という対応では、根本的解決にはならないのは言わずもがなでしょう。
時間はかかりますが、薬剤師のコミュニケーションに対する
・態度の転換
・能力の開発
に地道に取り組んでいく他無いと考えています。
態度を転換させる為には、「対物時代と対人時代に求められるコミュニケーションの違い」に深く気づいて頂く事です。
これには、言葉で伝えるだけでなく「体験的理解」が重要です。
「体験的理解」をさせる為には、ベテラン薬剤師と共に在宅医療の現場に赴き、
適切な対応を肌身をもって感じる事も一つでしょうし、研修内で疑似体験する事も一つです。
一方、能力を開発するにはOJTとOff‐JTを計画的に実施する事です。
能力の向上は態度の転換に良い影響を及ぼす事は、ご理解頂けると思います。
この3年間で弊社研修を受講頂いた薬剤師の3割程度の方から、
「コミュニケーションが苦手だから薬剤師になった。」
という声をお聞きしました。この事からもコミュニケーション能力向上を通じて、
苦手意識を払拭する事が如何に重要かが見えてきます。
本テーマは一朝一夕にはいきませんが、
先を見据えて着実に取り組む企業と場当たり的な対応に終始する企業とでは、数年先には大きな開きが出てきます。
本ブログが、各薬局の地域医療におけるプレゼンス向上の一助となれば嬉しいです。