H28年度に入って四半期が経った。某保険薬局の幹部の方より、
「これまでと全く同じ事をしていると、昨年度の利益の大半は吹っ飛んでしまう。
他の薬局さんの動向はどうか?」
と尋ねられたが、好事例を回答する事は出来なかった。
(この時点で予応的に新しい取り組みを行い、診療報酬改定による報酬低減の影響を最小限に抑えた薬局の事例を、私は知らなかった。)
別の保険薬局の幹部からは
「国は健康サポート薬局をドラッグストアに担わせたいと考えていると思う。 我々はこれまで取り組んできた事を一層磨いていくしかない。」
という話があった。ただこの話の後、
「この先の青図は明確に描けている訳ではない」とも話されていた。
一方、ドラッグストア各社の動きは活発に見える。健康サポートを体現する為に必要なハード面(品揃え・売り場の広さ等)を満たしている店舗が多い為、
各社の関心事はソフト面(作業手順・スタッフの意識・能力等)を如何にクリアしていくのか?という課題についてである。
因みに、この課題を解決する為には、店舗スタッフの
「環境認識を深める」と「意識を転換させる」
の2点が特に重要である。これらは環境変化に直面する人々に対する教育課題であり、
学生時代からの環境変化に直面する新入社員が正にこれにあたる。
ここ数年間の厚労省の政策により業界環境は大きく変化している事から、
新入社員同様、薬局・ドラッグストアのスタッフに対してもこの2点の必要性が高まっている。
しかし、弊社が担当する研修会の参加者に「薬局ビジョン」に関する理解度を確認するものの、半分程度の参加者からは「聞いた事はあるが、よく分からない」という声が返ってくる。
この事より政策内容に対する現場の認知度は高いとは言えない(環境認識が浅い)様に思う。
ここ数年間に出された政策の一気通貫のメッセージは、
「これまでのスタイルと決別できない薬局には、退場してもらう」
という事である。
医薬分業推進の下、市場全体が拡大する事により過度な競争をせずに存続できる環境が、保険薬局には用意されていた。
だが、昨今出された政策より、今後は調剤報酬頼みの一本足打法では、薬局経営を続ける事は極めて難しくなる。
(冒頭に紹介した保険薬局幹部の声がこの事を物語っている。)また、変革期に置かれる同業界に商機を見込む異業種の参入も活発化し、
今まで以上に熾烈な競争環境になる事は間違いない。
某ドラッグストアの幹部からは、
「今後、各社が生き残る為には、①特定疾患への専門性②ホスピタリティ③在宅医療の3つの何れかに強みがある店舗として、顧客から認知される必要がある」
という話があった。つまり、自社の立ち位置を明確にした上で自社資源を「選択と集中」し、他社とは違う「強み」を磨く必要がある、という理解で間違いないだろう。
他業界の事業戦略において「選択と集中」の概念が使われる様になってから久しいが、
正に今こそ各社の持てる経営資源を再配分し、独自色を打ち出していく事が、生き残る薬局・ドラッグストアの条件であろう。
最後に改めて思う事は、我々が各社の人材開発(薬剤師・医療事務スタッフの意識・能力開発)を支援するにあたり、
上記の様な業界の文脈に留まらず、各社の文脈(過去・現在に対する認識と未来への展望)を把握する大切さである。
弊社では、貴社の文脈を「薬剤師研修の流れ」にあるステップで把握させて頂くので、貴社の課題解決の為に、安心してお問い合わせ頂きたいと思う。