最近お客様より、
「薬局長では無いが、経験や技術のある薬剤師を評価する仕組みを作りたい」
という課題認識をお聞きする事が増えてきました。
昨今世間を賑わしている「働き方改革」においても従業員の就業時間に留まらず、キャリアや評価に関する話題までも論じられている様です。
そこで今回は
「薬剤師のキャリア・評価のあり方」
について書かせて頂きます。
評価を考える前提として、薬剤師のキャリア観の傾向を取り上げてみたいと思います。よくお聞きするのは、
・薬局長、マネージャーを目指し、日々研鑽していきたい!(役職志向)
・一薬剤師として一人一人の患者さんと向き合い続けたい!(職人志向)
・キャリアアップは考えていない。(現状維持志向)
の3つです。
1つ目は自身の所属する組織の発展に興味があり、発展に貢献したいと考える方です。
2つ目は自己の専門性を高める事により、患者さんの支援をしたいと考える方です。
3つ目は現状自分の持つ能力を活用し、業務に従事できれば良いと考える方です。
対物時代では上記全ての考え方が通用しました。
役職志向や職人志向の方々が必要なのは言わずもがな、慢性的な薬剤師不足の為に現状維持志向の人材も重宝がられてきました。
一方、厚労省が薬局ビジョンの中で
「2025年には全ての薬局はかかりつけ薬局へ」と明言しており、
今後は対人業務の実践度合いが報酬算定の軸となる事は間違いない状況の中で、先に挙げた重宝される人材の定義も大きく変わっていく事でしょう。
では、今後の薬剤師のキャリア・評価はどの様に考えれば良いでしょうか?
よくお聞きする2つの考え方をご紹介します。
1つ目は、新卒薬剤師が「かかりつけ薬剤師」の条件を満たすまでの3年間にあらゆる対人業務に精通させる事です。
ここでは、対人業務を「患者さんとのコミュニケーション」のみとは捉えません。
薬局長、同僚の薬剤師、医療事務、ケアマネ、MS、薬学生等・・、薬局を取り巻くステークホルダーの全てです。
ステークホルダーとのコミュニケーション場面を積極的に経験させる事です。
また場面を提供すると共に、コミュニケーションに関する意識醸成とTPOに合ったコミュニケーション技術を教育研修を通じて
段階的に学ばせる事も重要になってきます。
つまり、この3年間で環境に適した意識を植え付けると共にコミュニケーション技術を習得し、
対人時代で生き残る事ができる薬剤師を育てるのです。
2つ目は、対人業務を主要な評価項目とし処遇に反映する事です。
具体的には、対人業務(1つ目に記載した世界観)におけるコミュニケーション実績やその成果を評価し、処遇(昇給・昇格等)に反映させる事です。
例えば、
・「多職種との会合への参加件数」はコミュニケーションの実績
・「かかりつけ薬剤師の同意書の件数」はコミュニケーションの成果
と評価すると良いかもしれません。
現状「同意書取得に積極的な方と消極的な方(現状維持志向?)と2分される」とお聞きしますが、
この考え方の中では、現状維持志向の方は自身の評価・処遇が下がっていく事を受け入れて頂く事になります。
さりとて、依然として現状維持志向の方々が戦力となっている薬局も多いと思いますので、
上記の様なキャリア・評価の適切な導入タイミングがいつなのか?を判断する事が求められます。
最後に、
「現状維持は後退」
が他のどの業界よりも当てはまる薬局業界の中で、本ブログが皆様の輝かしい未来を掴み取る為の参考になれば嬉しいです。