この度、弊社の協業先であるCoMediCs社の宇野さんが、日本在宅医療連合学会大会(2025年6月14~15日)に参加された際の体験記をご紹介致します。
多職種連携における相互理解の重要性について、再認識させられる記事となっております。
「あれ?先生に塗り薬も欲しいって言っておいたんだけど持ってきてくれてないの?」
在宅患者さんを訪問している薬剤師なら1度は言われたことがあると思います。医師との連携不足によって薬局が右往左往しまうこと…ありますよね。今回の学会シンポジウムではそんな実際に遭遇する「あるある事例」をとりあげ、多職種でのディスカッションを行いました。
今回私が登壇させていただいたのは、第7回日本在宅医療連合学会大会in長崎 シンポジウム62「真の医療連携がここに!薬剤師の本音を皆で語ろう!!」です。私のテーマは「医薬連携がうまくいかなった「あるある事例」と課題」です。
(学会の会場、看板前で宇野が写っている写真)

こういった学会では、うまくった事例や自分が最も活躍した症例が発表されることが多く、界隈ではそういった症例を「チャンピオン症例」などと揶揄することもあります。しかし、今回のシンポジウムでは「うまくいなかった事例」を取り上げるというチャレンジでした。
私が過去に経験した事例をあげ、どうしてそうなってしまったのかを深堀し、有意義なディスカッションができました。
事例①
- 訪問医から処方のFAXが来た
- FAX通りに調剤し訪問した
- 現地にある処方せんの原本を見たら、手書きで軟膏が追記されていた
- 薬局に戻って調剤&再配達となった
→訪問医に「⼿書きで処⽅追加した時は必ずお電話ください」と事前にお伝えしていたか?訪問前に患者宅に電話をして、処⽅内容を確認したか?追加された薬の緊急性が低ければ、疑義照会で削除し、次回処⽅でも間に合うことを検討したか?などの対策を話し合いました。
事例②
- 病院MSWより「患者の体調が悪化したので訪問が必要になった、薬局をそちらに変更したい」と依頼あり
- 後日処方がFAXされてきたので患者宅を訪問した
- 家族より「まだ薬剤師の訪問は必要ない、今まで通り近隣の薬局に薬を取りに行く」と言われ、介護保険の契約も拒否される
→訪問する前に、患者と家族の意向を⼗分に確認するべきだった?患者・家族に訪問薬剤師のサービス内容をもっとアピールするべきだった?他職種からも訪問薬剤師の必要性を伝えてもらうなどのサポートをしてもらった⽅が良かったか?など、ディスカッションを⾏いました。この2例以外にも5つの事例を取り上げ、パネリストの先⽣⽅と意⾒交換をしました。
この手のディスカッションは他職種を非難する雰囲気になりやすく、心配もしていましたが、座長の先生方をはじめとしたシンポジストの先生方のお力もあり、終始和やかで前向きな雰囲気でディスカッションをすることができました。
そして、壇上の先生方とディスカッションするだけではなく、「Slido」というアンケートシステムを使いながら、リアル会場に参加している先生方全員から、リアルタイムで意見をピックアップしていくというYoutuberばりの運営にもチャレンジしました。スライドの作成よりも配信機器のセッティングや配信段取りの確認の方が大変だったかもしれません。
(PictureInPictureのスライド写真、ATEMminiProの写真)


実際の在宅医療の現場でも、他の職種を非難し、留飲を下げるような言葉を耳にすることがあるのですが、そこには生産性はありません。
双方の事情を知り、相互理解を深めるという目的に向け努力する必要があります。今回のシンポジウムはそれを改めて認識することになりました。
(演者、座長、シンポジストの先生方と並んだ写真)

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