「患者のための薬局ビジョン」が発表されて以降、薬局に求められる患者さんへのサポートのあり方は大きく問い直され、
一部の薬局では今までには無い様な新たな試みに取り組んでいます。
一方、現場の薬剤師の就業実態(意識や能力も含む)より、新たな試みの実現が難しい事も多々ある様です。
そこで、今回は「薬剤師の働き方」について書かせて頂きます。
「薬局ビジョン」の中に書かれている対人業務時代の薬剤師には、これまで以上に患者さんやお客様との接点を持つ事が求められています。
かかりつけ薬剤師になれば今まで以上にお客様からの問い合わせが増え、予定通りの勤務時間とはならない可能性があります。
例えば、
「小さい子供がおり17時以降に勤務できない薬剤師は、
かかりつけの患者さんからの17時以降の問い合わせに対してどの様に対応するのか?」
「多くの組織で人繰りが慢性的な課題となっている中で、
かかりつけの患者さんが特定の薬剤師につく事で他店舗への異動が難しくなり、人繰りがより深刻な状況になるのでは?」
という声を耳にします。
また、先日ある薬局の方からお聞きした話ですが、勤務時間に制限のある薬剤師の方に、
「今まで通り17時までの勤務で良いので、薬局長をお願いしたい」と伝えると、
「以前、ある薬剤師が薬局長に対して「この忙しい状況(17時時点)で、先に帰るのですか?」
と不満の声を発している場面に遭遇した事があり、私も同じ状況になる可能性があるのでお受けできない」
という回答があったそうです。
そもそも、何故この様な不満が出てしまうのでしょうか。
多くの現場スタッフは「薬局長は誰よりも長く働くべき」という思想を持っている様に感じます。
よくお聞きする人気のある薬局長像は、
「他の薬剤師の要望(休日申請)を聞き入れ自分がその穴埋めをする」
です。(因みに、その逆パターンはあまりお聞きした事がありません。)
この状況を打開する為には、「薬局長の役割」を初め「薬剤師の働き方」を再定義する必要があると思います。
再定義の際に大切にしたい思想は「チーム意識」です。
チームとは相互依存(Win-Win)の精神が大前提です。
少なくとも薬局長が薬剤師の要望をただ聞き入れる関係(Win-Lose)は指しません。
「如何にスタッフ間で相互依存の関係を構築するか?」
が今後の薬局運営の鍵になると思います。
「薬局ビジョン」の発表から1年強経ちますが、未だ国の方針と現場の実情には大きな溝があります。
この溝を埋める対応が出来た薬局こそ、地域から認められる「生き残る薬局」になるのだと感じております。
我々も微力ながら、溝を埋める為のご支援をさせて頂きたく思います。
人材育成に関するお悩みをお持ちの方はお気軽にお問合せ下さい!
mall:info@ptc.co.jp