弊社では薬局・ドラッグストアの薬剤師向けに、
かかりつけ薬剤師と認識してもらう為のコミュニケーション研修を行っています。
コミュニケーション研修を企画する際に、ケースの題材として
クレーム事例やその対策について教えて頂く事があります。
その内容は多岐にわたりますが、薬剤師のコミュニケーションが原因で
発生しているクレームは少なくない様です。
そこで今回は薬局でのクレームの実状やその対策について取り上げたいと思います。
まず、クレームを
①店舗・環境(待ち時間が長い・料金が高い等)に対して
②薬剤師個人(服装が乱れている・態度が悪い・服薬指導が不十分等)に対して
の2つに分けて考えてみます。
①店舗・環境に対するクレームは、
「どうしようもないし改善もできない」
と思ってしまうかもしれませんが、クレーム防止という観点から見ると出来ることは
存外あります。
例えば、
「待ち時間が長い!」
混雑するタイミングはコントロールできるわけもなく、原因を解決することは難しいと言えます。
この様な場合、処方箋の受け取り時に待ち時間の見通しをお伝えすることで、
待つ or 待たない、
待合室で待つ or 付近で買い物をして待つ
を患者さん自らが選ぶ事が出来ます。
待ち時間に関して、
自分自身で待つと決めた場合
何も知らず待っていた場合
とでは、同じ時間を待ったとしても不満の度合いは変わるでしょう。
薬局・病院は他業界に比べ、スタッフの仕事内容が患者さんに伝わりずらく、
処方・投薬までの待ち時間が不明瞭な為、患者さん自らが待ち時間を予想する事は難しいのが現状です。
事前に患者さんに判断の材料を提供し、
自ら判断できる環境を整えることがクレーム減少に繋がるかもしれません。
一方②薬剤師個人へのクレームは、薬局内での規定(服装・髪型など)を作ることである程度の
効果が見込めますが、①に比べ薬剤師が今まで以上に患者に目を向ける必要があります。
例えば、
丁寧な服薬指導をする
笑顔で対応をする
一見何の問題もありませんが、状況に合わない画一的な対応をしているとクレームに
発展することがあります。
具体的には・・
(急いでいる患者さんへ)丁寧な服薬指導をした。
(重大な疾患でお悩みの患者さんへ)笑顔で対応をした。
この様に文章に書くと不適切な部分がわかりやすいですが、現場では患者さんの態度・雰囲気から
察知しなければ適切な対応を取る事はできません。察知するためには患者さん一人ひとりに向き合う事が必要です。
察知する力を高める為には薬剤師一人ひとりの「感受性」を高める必要があり、正直一筋縄では
いきませんが、現在の時流(対物業務→対人業務)よりこの事から逃げる事はできません。
感受性を高める為の教育コストは決して安くはありませんが、
クレームが起こった後の対応時間を考えれば大きなコストとは言えないのではないかと思います。