【かかりつけ薬剤師育成プログラム便り第13号】(在宅医療)多職種連携チームにおいて薬剤師ができること

弊社「かかりつけ薬剤師育成プログラム」10月21日(土)14時からは「多職種連携の際のコミュニケーション研修」

(案内ページ https://www.ptc.co.jp/pharmacist/seminar-humanskill-4.html?kind=0

の開催を予定しております。

講座内容の一部を「かかりつけ薬剤師育成プログラム便り」としてご案内させていただきます。ご検討にお役立て頂けたら幸いです。

先日、日経DI7月号(プレミアム版)の記事(コラム:鈴木寛さんの「患者の話、よくよく聴いてみると」)を読み、「これぞまさしく多職種連携の際に求められる薬剤師の在り方だなあ…」と、思いましたのでご案内させていただきます。

弊社研修プログラム「多職種連携の際のコミュニケーション研修」の伝えたいメッセージのモデルケースでもあります。

(以下、記事内容)

~新規個人在宅患者(83歳女性)の事例~

ケアマネジャーや担当介護士から薬の一包化を依頼されたが、患者からは「一包化しないください!」と訴えられた薬剤師の対応について

の記事でした。患者がなぜ「一包化しないでください!」と言っているのか?

薬剤師が患者本人に確認したところ、「一包化=認知症」というイメージがある為、嫌だったそうです。そこで、実際に一包化する必要があるかどうかを薬剤師の立場から冷静に考え、まずは一包化せずに見守ることにしたそうです。

この事例において、すぐに「一包化」するのではなく様子をみようと判断した理由は

①薬剤(3種類)の残数にばらつきはあったのだが、患者はPTPのまま交付された薬を、薬袋に服薬記録をつけながら自分で管理していたこと

②残薬調整後に訪問を重ねてみたところ、飲み残しは確かにあったが3種の薬剤間では残数に新たなズレが無かったこと

 (=飲み誤りではなく薬剤の開始時期のズレが原因と思われた)

③患者の「一包化してほしくない!」という強い希望

を考慮しての判断でした。

一包化せずに経過観察する際には、デイサービスのスタッフと情報を共有し、血圧推移なども注意深く把握しながら行ったそうです。経過を見る過程で訪問を重ねていくと、患者の服薬遵守が徐々に上昇し、最終的には飲み忘れがなくなった、という事例です。

この事例において、とても大切なことは

・患者の自尊心を傷つけないように配慮しながら服薬指導が行われたこと(飲み忘れと思われる事象についても、患者の気持ちに寄り添いながら声掛けをしていった)

・介護スタッフの立場(介護スタッフのサービス内容に「服薬の見守り」が含まれる場合、患者の飲み残しに対して敏感になってしまうこと)を理解していた

・患者の自立度をできるだけ長く維持するために、安易に一包化を行わなかった(患者の為に本当に必要か?を熟考)

という点です。

特に、「介護スタッフの立場を理解している」点は、とても重要だと思います。

「一包化するべき」か「一包化しなくてよい」かで意見が分かれてしまう場合、それぞれの立場での意見を主張し、結論がでない、というケースがよくあります。

多職種連携の際には、多職種の方の意見を評価するのではなく受容していくことがとても大切です。そして、「患者のなりたい姿」という共通目的のために、それぞれが役割分担をしながら協力する必要があります。

上記の事例では、ケアマネや介護士の意見に耳を傾けつつも、薬剤師としての立場から安易に一包化するのではなく経過観察して判断しようとした事が良かったのだと思います。一包化を否定するのではなく、「少し経過観察をしてみて判断しましょう!」と働きかけたことにより、多職種の方にも理解してもらいながら患者目線での服薬指導ができたと思います。

薬剤師が参画することによって、患者の服薬遵守率が上昇し飲み忘れが無くなったのですから、薬剤師の役割はとても大きいです。

とはいえ、在宅に関わる多くの薬剤師が、多職種連携がうまくいかずに悩まれているお話をよくお聞きします。

「担当者会議では、いつもケアマネの独壇場となっている」

「薬剤師としての意見をどのように多職種の方々に発信していけばよいか、分からない」

「薬剤師に対し、ケアマネから依頼されるのは、お薬カレンダー作成や薬の一包化ばかりだ」

といったお声をよくお聞きします。

薬剤師が多職種連携でどのように役割発揮してチーム医療に貢献できるのか?

その手掛かりとなる重要ポイントを、弊社「多職種連携の際のコミュニケーション研修」でお伝えしています。

本研修プログラムでは、

「ケアマネからみた薬剤師」という話からスタートし、「山登り」という実習に入ります。「山登り」実習では、多職種連携をゲーム感覚で体験していただきます。立場も価値観も経験も違う人たちが「朝日を見る為に山登りをする」という目的でルート決めを行います。

実習体験後に、(患者のQOL向上を目的とした)サービス担当者会議のケースでは、何に留意する必要があるか?を考えていきます。

前半の流れは、ざっとこのような感じになります。(後半の流れは、次回ブログにてご案内予定)

多職種連携に課題認識をお持ちの薬剤師の為の研修内容となっております。ご関心がございましたらば、是非、弊社ホームページ上にて、研修内容の動画をご確認くださいませ。

(本ブログ記事でご案内した)「一包化しないでください!」と患者に訴えられた薬剤師の事例を、思い浮かべながら紹介動画を見ていただくとより分かりやすいのではないか、と思います。

↓オンライン公開講座のご案内ページに、研修内容の動画もリンクしてございますので、是非覗いて頂けたら幸いです。

https://www.ptc.co.jp/pharmacist/seminar-humanskill-4.html?kind=0

オンライン公開講座「多職種連携の際のコミュニケーション研修」(10月21日(土)14時~)へのご参加、お待ちしております!!