【かかりつけ薬剤師育成プログラム便り第29号】「現状を受けとめる事の難しさと重要性」

8月も目前、お子様が夏休みに入ったご家庭も多いのではないでしょうか?学生にとっての夏休み前の試練といえば、定期テストがありましたね。先日、息子が定期テストを終え、想定以上に低い点数だった数学について振り返りをしていました。

「今回は自分の実力が出せなかった。…というか、ケアレスミスがかなりあって、解き方は分かって いたんだよなぁ。もったいないミスをいっぱいしちゃって。こんなハズじゃない。」

(うん、なるほど…。前回の模試を受けた時にも似たようなことを言っていたなぁ。)

私は、いろいろと言いたい気持ちをグッと抑えながら、ふと思いました。
(言い訳じみた振り返りをしている息子の気持ちも分からなくもない(;´∀`)少し前の私だって、同じようなことをしていたじゃないか!)

ダイエット宣言をして運動を始めておきながらも、毎日の飲酒習慣は変えることが出来ず、

「アルコール摂取していたって、糖質をとりすぎなきゃ太らないよね」
「あまりストイックになりすぎると、続かないよねぇ」

いろいろと言い訳ばかりしていました。

しかし、ある時、本気で痩せないとまずい!状況は深刻だ!と思ったことをきっかけに、生活スタイルや食事内容・間食習慣・飲酒習慣などを根本的に見直しました。

その結果、半年以上かけて10キロ以上減量することに成功しました。

何がきっかけか?というと、「健康診断の身体測定の数値データ=肥満」という結果を目にしたことでした。このままだと糖尿病のリスクもかなり上がってしまう(そういえば祖父は糖尿病だった…)。

この時、この測定結果を何度も見ながら、「もう本当に本気でダイエットしなければ、きっと一生ずるずると太り続けるだろうし、今回ばかりは「結果にコミットするぞ!」」と心に誓ったのです。

「変わりたい」と思う時、理想の姿を思い浮かべる事は、それほど難しくないように思います。
こうだったらいいのになぁ、と思う事は次々と思い浮かびます。

一方、「現状を把握すること」は、意外と難しいのではないでしょうか?

現実に向き合って受けとめる事は、楽しくないし、むしろ辛く目を背けたくなる作業です。しかし、「変化」していく為には、現状を正しく把握できないと目標や理想像とのギャップが見えず、ギャップを埋めるための計画も描けないのです。

これは、組織も同様であります。

「今後の経営戦略を策定し具体的な目標を掲げたけれど、なかなかうまくいかない」
「現場(各店舗)に戦略の意図が上手く伝わっておらず、危機感に温度差が生じている」

この様な薬局経営者のお悩み解決のために、弊社でご支援させて頂いているプログラムでも、実際、最初に取り組む課題は「現状分析」(=自薬局の現状を正しく把握する)なのです。

「現状」に対する認識が、経営者と薬局長とでは、かなりの差が生じているケースが非常に多いです。この認識の差を解消し一致させることが、とても重要な作業となってきます。本気で、薬局業務やスタッフの意識を変えていこうとするならば、この作業は必要不可欠です。

自社内でこの作業を実施することは、なかなか難易度が高く、他社比較や情報量にも限界があります。

また、考慮すべきこととして、

「多くの薬局長が、今まで経営的な視点で自薬局のことを分析したり、スタッフへの意識づけをいかに

行えば良いのか?というマネジメントスキルを習得する機会が無かった」ことがあります。全くやり方も分からず未経験のことを、状況が変わってきたから「やってください」と指示しても、出来ないのは当然のことと言えます。

ですので、このような状況で外部コンサルタントを活用するのは非常に有効な手段となります。今こそ、新たなチャレンジで「理想の薬局づくりを成功させたい」とお考えの薬局経営者のみなさま、

是非、弊社にお気軽にお問合せください。

今後の薬局経営の盤石な体制づくりの為に、薬局長やエリアマネージャークラスの学習機会を是非!

PTC『薬局長(薬局経営幹部)向けプログラム』

~『変革期のリーダーシップ開発プログラム』~
https://ptc.co.jp/pharmacist/shien/leadership.html

お問合せは随時受付中。弊社HPからもお問合せ頂けます。

【かかりつけ薬剤師育成プログラム便り第28号】「人的資本経営のススメ」

最近、『人的資本経営』の特集をよく目にします。

『人的資本経営』は欧州・欧米などの海外で注目され、国内でも企業価値を向上させる施策として推奨されています。(経産省が、「人材版伊藤レポート」(=人的資本経営に関する報告書)を発表)

『人的資本経営』とは、人材を資本としてとらえる経営戦略であり、従来の経営戦略とは「経営方針の方向性」が異なります。

従来の経営戦略では、長期的定着を前提とした人材の確保・管理を行っていましたが、『人的資本経営』は、人材の管理ではなく人材に投資して育てる経営戦略となります。

・従来の経営戦略→人材を、消費する「資源」として捉える
・人的資本経営→企業の財産になる「資本」として扱う

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【かかりつけ薬剤師育成プログラム便り第27号】「コミュニケーション力で選ばれる薬局づくり=地方薬局こそ教育機会を‼」

先日、テレビニュースで『「孤独」が死亡リスクを高めている』という特集をしていました。
「社会とのつながりが少ないこと」の死亡リスクは、喫煙・過飲酒・肥満を上回るそうです。

高齢化が進むにつれて、「孤独」を感じる人達は増え続ける傾向にあります。「自分は孤独だ」と感じさせない地域社会の仕組みづくりが今後はますます求められます。地域医療において、病院・診療所・介護施設・社会福祉協議会…などと連携しながら、薬局(薬剤師)に出来ることはいろいろとあります。

他職種連携が強い薬局は、地域社会において必要不可欠な存在となり、患者からも選ばれることになります。地方の中小薬局においては、「薬剤師に人が集まる」というケースが多いように思います。薬を調達する為の薬局ではなく、健康寿命を延ばすための秘密基地的な役割も担える薬剤師が求められている訳です。

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【かかりつけ薬剤師育成プログラム便り第26号】「薬局店舗のマーケティング戦略、しっかり打ち出せていますか?」

2024年度調剤報酬改定をうけ、従来通りの薬局運営のやり方では適正収益を獲得するのが難しくなってきました。外来患者数の減少、調剤報酬の点数減少、更には場所によっては立地条件の優位性もあまり意味を為さなくなりつつあります。

患者の立場からすれば、「処方薬を受け取るだけの薬局はどこでもよい」わけで、その他のメリットが無ければわざわざ薬局を選ぶ理由はありません。

このような状況下、ここ1~2年で「薬局長・エリアマネージャー」を対象とした研修のご支援が激増しました。内容は、「地域から選ばれる店舗を創る為のリーダーシップ力」を発揮してもらう為の内容です。

各店舗それぞれの地域で「選ばれる薬局」となる為に、自店舗においては何を目指していく必要があるのか?

についてのシナリオを描き、それを薬局スタッフにもしっかりと認識を合わせ、薬局業務の見直しを図る為の具体的なスキルアップ研修となります。

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【かかりつけ薬剤師育成プログラム便り第25号】「薬局長の役割は変わっています!薬局長へのマネジメント教育機会は提供できていますか?」

昨今の薬局業界をとりまく激しい環境変化に対応すべく、DX推進に力を入れている薬局はかなり増えています。

DX推進により、業務効率化を図ることが可能ですが、「生み出された余力を何に注力していくのか」が討議され、具体的に新たな業務設計がなされている薬局はまだまだ少ないように感じます。

デジタル化は、差別化や合理化のツールにすぎません。

薬局といっても、全国津々浦々に所在する薬局は、それぞれ「環境」も「強み」も異なります。DX推進によって目指すべきゴールを見誤ってはいけません。

それぞれの地域において「選ばれる薬局」となる為に、自店舗においては何を目指していく必要があるのか?という「物語り」を語る事の出来るAM・薬局長が必要です。

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【かかりつけ薬剤師育成プログラム便り第24号】「2024年度調剤報酬改定を受けて目指すところは?」

中医協総会が2月14日に開催され、2024年度調剤報酬改定の個別項目と点数について、厚生労働省に答申しました。
今回の報酬改定のポイントとしては(以下3点)、

地域支援体制加算のマイナス改定(一律7点マイナス、実績値を重視した算定基準となり算定基準数も増加)
→現況で試算するとトータルで大きなマイナスが出る薬局も少なくない模様

在宅患者調剤加算の廃止、在宅薬学総合体制加算の新設(加算1は15点、加算2は50点、処方箋受付1回に付き)(加算1の施設基準は、直近1年間の実績として在宅患者訪問薬剤管理指導料などの合計が24回以上、加算2では医療用麻薬の注射薬1品目以上を含む6品目以上の備蓄や2人以上の薬剤師の勤務など)
→着実に在宅業務への実績を積んできた薬局にとってはそれが評価対象となり、今までの努力が報われる一方、在宅医療の推進が十分でない薬局はより一層厳しい状況となる

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【かかりつけ薬剤師育成プログラム便り第23号】「選ばれる薬局・薬剤師への道筋」

令和6年能登半島地震が起こり、半月が経ちました。
連日の被災地の報道を見ていて、極寒時期での長引く避難生活の過酷な状況に、とても胸が痛みます。

また、日を追うごとに災害関連死の数が増えています。持病のある方はもちろんのこと、長引く避難生活の疲れで体調を崩される方が増え、医薬品の供給が追いついていません。ニュースでは、他県からモバイルファーマシー(災害対策医薬品供給車)と薬剤師が派遣された様子が映っていました。

報道を見ていて、非常時において「薬」は命に係わる必要不可欠なものであることを、改めて実感しました。外傷の手当てに必要な薬、感染症の治療薬、糖尿病患者に必要な薬、気管支喘息やアレルギーの薬・・・、薬を必要としている方々はたくさんいらっしゃいます。そして投薬には医師とともに薬剤師が必要です。医療従事者の皆様のおかげで、健康を維持できているのだと改めて感謝の気持ちが湧いてきました。

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【かかりつけ薬剤師育成プログラム便り第22号】「薬剤師は学びを求めている!」

早いもので、2023年も残すところあと数日となりました。

この1年を振り返りますと、5月に新型コロナウィルス感染症が5類に移行し、長らく続いたコロナ自粛生活が次第に解かれた1年となりました。とはいえ、感染症が無くなったわけでもなく、様々な感染症への対策は引き続き必要ではありますが…。

皆様、体調を崩すことなく親戚や親しいご友人とのよい年末年始をお過ごしください。

先日、今年度実施した「かかりつけ薬剤師育成研修」の受講者アンケートを集計・分析してみました。アンケート集計しながら感じたことは、薬剤師の皆様が、誠実で勉強熱心な方が圧倒的に多い、ということです。

受講者アンケート結果では、

対人業務に必要不可欠な「コミュニケーションスキル」、「論理的思考」の【ピラミッドストラクチャー手法】や、幹部(管理薬剤師・薬局長・エリアマネージャー)対象の「次世代リーダー育成プログラム」の【実習=SWOT分析】などは、受講者からの評判が特に良かったです。

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【かかりつけ薬剤師育成プログラム便り第21号】「選ばれる薬局づくり(=業務改革推進)のために薬局スタッフの意識醸成を!」

2023年もいよいよ最終月=師走となりました。
今年は、師走といえどもポカポカ陽気の日も多く、いまひとつ師走の実感が沸かないのですが(;´∀`)

さて、2024年度調剤報酬改定にむけた議論がなされていますが、財務省は調剤基本料1の適用範囲等の見直しを求めているそうです。財務省独自の予算執行調査を基に、処方箋集中率が高い薬局は備蓄している医薬品目数が少ない傾向にあり、集中率の低い薬局と比べて低コストである点を踏まえて…、とのこと。

また、地域支援体制加算についても、調剤基本料1の薬局が算定する加算1、2の要件が、同加算3,4よりも緩和されているとし、要件の見直し(例えば、残薬への対応や減薬の提案に係る実績の必須化、地域連携薬局の認定を要件とする…)を提案しています。

2018年度に新設された地域支援体制加算は、過去2回の改定で点数が引き上げられたものの、調剤基本料1の薬局にとっては求められる算定要件が徐々に増えています。24時間調剤や在宅対応、等の体制整備にコストを要する現状を踏まえ、実績を作っている薬局には手厚い点数が用意されるという改定になりそうです。

高齢化率がピークを迎える2040年にむけて在宅医療は重要な分野となります。

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【かかりつけ薬剤師育成プログラム便り第20号】「薬剤師という職業=人と関わり、質の高いコミュニケーションをとってこそ本領を発揮」

先日、『これが私の薬剤師ライフ(日経ドラッグインフォメーション編)』(日経BP)を読んでみました。

大学薬学部が6年制に移行してから卒業した50人のキャリアについて、紹介されている書籍です。(既に読まれた方も多いかとは思いますが…。)薬剤師といっても働き方は多種多様ですが(薬剤師から転職した方もおられます)、50人の50通りの働き方や想いが紹介されています。

薬剤師としてのキャリアを歩む中で、自身と向き合いながら自己実現を模索していく姿がリアリティがあり、共感できる部分が多いです。

書籍のなかで、ドラッグストアで経験を積んだのち、在宅を手掛ける薬局に転身した飯塚さんの記事がとても印象に残りました。とても優秀な方で、入社後4年で管理薬剤師となり、店舗スタッフの育成と業務改善で成果を上げたそうです。その功績が認められ、更に応需処方箋数が多い店舗の薬局長を任され、大規模な業務改善に成功(残業時間を半減)し、その後も様々なキャリアを積んだ後、在宅医療を志望して転職し、看取り支援に携わるようになったそうです。

飯塚さんが仕事をしていくうえで大切にしている軸が2つあるそうです。

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