他者に読んでもらう薬歴作成のコツとは

H30年度の調剤報酬改定では、薬局に対して地域医療への積極的な参画が期待されており、
薬剤師には他の医療機関に患者情報を共有する事が求められています。

昨年7月のブログで、

「薬歴は書くだけのものでは無く、読んでもらうもの」

という考え方を取り上げましたが、
上記の改定内容からも患者の重要な情報源である薬歴の質向上が地域医療へ参画する上で重要である事は言わずもがなでしょう。

そこで今回は、「他者に読んでもらう薬歴作成のコツ」について取り上げます。

まず、薬歴を作成するには、当然ですが患者へのヒアリングが必要です。
しかし、いざヒアリングをしようとしても、薬局に訪れる患者の多くは既に医療機関を受診しており、

「さっきドクターに説明したのに・・」
「薬だけ渡してくれればいいのに・・」

と考える方は少なくありません。
そういった患者から情報を引き出すには、かかりつけ薬剤師育成プログラム2年目でご紹介した「受容」と「共感的理解」が必要になってきます。
患者の気持ちに寄り添う傾聴の姿勢を通じて、患者に「話をしたい」と感じてもらう事で、軽微なストレスで二度目となる薬剤師からのヒアリングに応えてもらえるでしょう。

そして、頂いた患者情報を薬歴に記載する際は、

「分けるが分かる」

を意識する事です。
具体的には、かかりつけ薬剤師育成プログラム1年目研修でご紹介した「ピラミッドストラクチャー」を活用することです。

上記の画像にSOAPを当てはめると・・

3階層目:SO
2階層目:A
1階層目:P

の順に整理することで他者が読む際に理解しやすい薬歴を書くことができます。
ピラミッドストラクチャーを活用することで他者が読み易いだけではなく、

「SOAPに何を書けばいいのか分からない」
「SOAPが苦手」

という苦手意識がある方でも、ガイドラインが明確になり他者が読みやすい薬歴が作成できる様になります。

冒頭でも触れた様に、薬局から他の医療機関に対して患者情報を発信する機会は今後増えていくものと思います。
この様な傾向において、患者の情報源である薬歴の質向上は極めて重要な課題と言えるでしょう。

本ブログが積極的な地域医療への参画の一助となれば嬉しいです。

かかりつけ薬剤師育成プログラムヒューマンスキル開発