薬剤師に求められるコミュニケーション(言語編)【コンサルタント発信】

薬局ビジョン(厚労省発)にある「対物業務から対人業務へ」を実現する為には、
「コミュニケーション力」啓発は重要である。一口に「コミュニケーション」と言っても、TPOに応じて求められる内容は異なってくる。

例えば、相手の気持ち・感情に配慮が求められる場合、それらに合った表情、声のトーン、間といった非言語情報の扱い方が重要になってくる。
これを心理的コミュニケーションと言う。

一方、限られた時間の中で、相手に自分のメッセージを伝えたい場合は、簡潔明瞭で納得感のある言葉や文章、つまり言語情報の扱い方が重要になる。
これを論理的コミュニケーションと言う。

もちろん薬剤師にとって双方のコミュニケーションスキル啓発が必要な事は言わずもがなであるが、ここ数年、若手薬剤師向けの研修参加者から、

「アドヒアランスを高める為に患者さんとコミュニケーションを取ろうとしても『早く薬を渡してくれ。』と言われる事があります。しかし、急いで投薬をすると後日患者さんから『薬の説明が足りない。聞いていない事がある。』と言われる事があり、対応に苦慮しています。」

という声を耳にする。
未だ「薬局は薬を出しさえすれば良い」という認識の患者が多い現状では、上記の様に迅速さと納得感のある投薬が求められる場面は少なくないだろう。
この様な場面への対応力として、薬剤師には簡潔明瞭で納得感のある言語情報の扱いが求められる。

また「薬歴」において、

「『お変わり無し』や『副作用について説明した』といった主語が無く抽象的な文章が散見され、書いた本人しか解読できない内容が多いと感じています。後者の例であれば、具体的にどの薬の副作用について説明したのかを記載しておけば、別の薬剤師が投薬しやすいのですが・・。」

という話を聞く事がある。
薬歴記入に関しては、薬剤師不足が故に記入時間を十分に確保できない現場の実状がある一方、薬剤師が扱う言語情報の質の改善も課題として挙げられる。

では、これらの課題を解決する為にはどうすべきか?

冒頭で紹介した「論理的コミュニケーション力」を磨く事である。
「論理的コミュニケーション」とは、コミュニケーションを取る人々が「分かった!」と感じる為の手段である。「分かる」の語源は「分ける」であり、言語情報を「分けて」伝える事で相手が「分かる」コミュニケーションになると言われている。

言語情報を「分けて」伝えている一例を見てみよう。

突然、上司から「○○さん、明日から就業時間10分前には出社してくれますか?」と言われるよりは、

「○○さん。ここ2週間で就業時間ギリギリの出社が5回ありましたね。」(事実)

「出社後は余裕が無い様に見えますし、午前中の業務の抜け漏れが多い様に感じています。」(事実の評価)

「だから、明日からは就業時間10分前には出社してくれますか?」(結論)

と(事実・評価・結論に)分けて言われた方が、納得感は高まるだろう。
逆に、結論のみ言い放っても相手の納得感は高まらず、行動変容に繋がらない場合が多い。

なお、言語情報を「分ける」スキルを啓発するポイントは2つある。
1点目は「分かっている」と「出来る」の差に「気づく」事である。
2点目は「繰り返す」である。

1点目は、「その考え方や方法(例えばロジカルシンキング)は既に知っている」と感じた事が、意外にも「出来ていない」事に「気づく」、例えば、自分の発する言語情報が分かり易いか?他者から指摘を貰い、自分の知識の実践度合いを把握する等である。

2点目は、「報・連・相」の直前1~2分間で伝える情報を整理(分ける)する事を習慣化する、つまり「繰り返す」である。論理的コミュニケーションは、スポーツ選手が体の使い方(理屈)を体に染み込ませる為に「反復練習」するのと同じで「努力」で身につくものである。

なお、上記の内容を反映した弊社プログラム

『服薬指導の際の論理的コミュニケーション研修』

も参考に頂きたいと思う。

最後に、本ブログが薬局ビジョンの一節にある
「平易で分かり易い情報提供・説明をする」為の能力開発の参考になれば嬉しい。

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