「オンライン研修元年アンケート報告③」受講者の声・次年度に向けた対策

今回は「オンライン研修元年アンケート報告」シリーズの最終回となります。

最終回の今回は、

・今年度アンケートを通して頂いたオンライン研修に関する声
・オンライン研修の更なる品質向上の為の論点(次年度に向けた対策)

の2点について書かせていただきます。
(アンケート結果については「オンライン研修元年アンケート報告①・②」をご覧下さい。)

今年度のアンケートでは、オンライン研修を通して

・感じたこと
・気づいた事

について回答頂き、

①肯定的な声
②課題認識と要望

の2つに分けて集計しました。図1をご覧下さい。

 

①・②共に5項目あります。

それでは、①肯定的な声の5項目について見ていきます。

肯-1.対面研修と遜色ない内容であった(35%)

(アンケート記述内容)
・聞くだけの研修では無く実習も多かった為頭に入りやすかった。
・ペアワークやグループワークも実施でき充実した研修であった。

多くの受講者より、想像以上に対面研修に近い内容(実習・ペアワーク)だった、
という声を頂きました。

肯-2.受講場所が良かった

(アンケート記述内容)
・研修会場(自店舗・近隣店舗)への移動時間が短くて良かった
・慣れた環境で受講できるのは負担が少なく感じた
・密を避けて受講できるのが良かった

以前より、
「朝早く起きて遠くの研修会場に移動するのは負担がある」
という不満の声がありました。オンラインにより店舗での受講が可能になった事が功を奏して、この不満が解消された様です。

肯-3.思ったよりトラブルが少なかった(21%)

(アンケート記述内容)
・通信エラーもなく、会話もスムーズにできた。
・Zoomの操作に不安があったが、丁寧に指示があったので操作に手間取らなかった。

オンライン研修初受講の為、不安を抱える方が多かったですが、実際は思ったよりもスムーズでトラブルも少なかったという声を多数頂きました。
この背景には、事務局の方々の研修前の準備(例:接続テスト・マニュアル作成)があります。
(詳しくは「薬剤師向けオンライン研修の準備」をご覧下さい)

肯-4.オンラインの機能が良かった(11%)

(アンケート記述内容)
・クラスとグループの切り替えがスムーズに行えてよかった。
・目の前の画面にスライドが表示されるので集中できた。
・オンラインは対面研修に比べ他グループの人の顔が見れるのでその点が良いと感じた。

弊社はZoomを使用しましたが、その機能(ブレイクアウト・ギャラリービュー)により、対面研修での制約(投影スライドの視認性・他グループ受講者の確認)が少なくなった様です。

肯-5.コロナ禍での研修実施に感謝(7%)

(アンケート記述内容)
・研修が無くなり同期と会えていなかったので、Zoom上で会えて意見を共有できた点が良かった。
・こういう状況でも研修が開催出来るのはオンライン研修の強みだと思う。

コロナ禍で同期や他店舗スタッフとの対話や研修受講機会共になくなっていた中で、研修を企画してもらえた事への感謝の声がありました。

次に課題認識と要望の5項目を見ていきます。

課-1.受講環境について(27%)

(アンケート記述内容)
・グループワークの際に同じ店舗の他受講者の声が混ざって聞き取りにくかった。
・オンラインなので自宅で受講ができればより良かった。
・通常勤務している店舗スタッフの声や物音が入ったり、自分の声が周りに聞こえて迷惑になっていないか、と気を遣う事が多かった。

殆どの方が自店舗か近隣店舗で受講されましたが、物理的な受講環境を改善して欲しいという声を頂きました。

課-2.研修運営について(25%)

(アンケート記述内容)
・画面をずっと見ているので対面研修よりも休憩回数を増やしてほしいと感じた。
・グループワークの際に、意見をまとめる前にクラスの画面に切り替わってしまった。
・対面と比べ、講師へ講義内容を聞き直す、質問をする事が難しいと感じた。

オンライン研修を実施して間もない時期(6~7月頃)に多かった声です。実施側・受講者側双方の経験値の少なさが影響しています。

課-3.受講者間のコミュニケーションについて(20%)

(アンケート記述内容)
・時差が有るため発言が被ってしまうことがよく有り、やりづらかった。
・言葉以外の情報は伝わりにくい、伝えにくかった。
・他グループの様子が見えづらい。

対面研修に比べて討議や実習の際のコミュニケーションが取りづらいという声がありました。
これは、受講者のオンライン上でのコミュニケーションの経験値や、通信スピードが影響しています。

課-4.通信・音量について(17%)

(アンケート記述内容)
・電波が悪く音声が途切れたり電子音になったり、画面が止まる事があった。
・発言している人のマイクの音量が小さく聞き取りづらかった。
・Ipadだと充電しながらの受講が難しかった。

通信については、回線状況が芳しくない店舗の受講者から頂いた声です。一方、音量については使用するデバイスの種別により音量の差があった様です。

課-5.Zoomやデバイスの操作について(11%)

(アンケート記述内容)
・Zoomに慣れていないので最初の設定に戸惑った。
・何回もマイクがオンになる人がいてうるさかった。
・ミュートが上手くいかなかったりハウリングが起きたりした。

事前に事務局から受講者へZoomの使用方法の案内をしているものの、上手く操作できなかった方がいました。Zoomの使用経験の少なさが影響しています。

以上が①肯定的な声、②課題認識と要望の各5項目です。
ここまでの内容をまとめますと、

・オンライン研修は対面研修と遜色の無い品質であった。
・その一方、①物理的な受講環境、②研修運営、③研修内でのコミュニケーション、④通信環境、⑤各種操作手順で改善点があった。

の2点に集約されます。後者を踏まえ、オンライン研修の更なる品質向上の為の論点(次年度に向けた対策)を整理します。

論点整理のポイントは、

「受講者の経験値の有無」

です。経験値が高まるにつれ、

②研修運営
③研修内でのコミュニケーション
⑤各種操作手順

に関しては改善されるでしょう。一方で、

①物理的な受講環境
④通信環境

に関しては、対策を講じる事で改善が期待できるしょう。

未だ感染収束の見通しが見えない中、新年度を迎えようとしています。
当分はオンラインを前提とした研修実施が続いていくでしょう。
またコロナ収束後も、投資対効果の視点より、対面とオンラインの併用が現実的と言えるでしょう。

以上より、更なる研修品質向上の為に、そしてアフターコロナを見据えた研修環境創りの為にも、

「物理的な受講環境や通信環境の整備」

に取り組む必要があるでしょう。

最後までお読み頂き有難うございました。
今回のブログが来年度の研修企画のご参考になれば幸いです。