かかりつけ薬剤師育成の背景(同時改定の狙い)
2018年の薬価・診療報酬・調剤報酬の同時改定が控える中、薬局・ドラッグストア各社はその対応への備えをされている事と思います。今回の改訂の背景には「施設から在宅へ、在宅から地域へ医療現場をシフトさせる」という国の考えがありますが、思う様に進んでいない現状があります。 今回の同時改定は抜本的な改革を行い、先に触れた考えを徹底する仕組みを構築する狙いがあります。
この文脈において薬剤師の主要な役割は「対物」から「対人」業務へシフトする必要があり、この変化に対応できる薬剤師、つまり「かかりつけ薬剤師」の育成が急務である事は言わずもがなでしょう。
かかりつけ薬剤師育成の留意点
これまで2,000名超の薬剤師のコミュニケーション教育をお手伝いをして参りました。この過程で感じた事は、
- 1. 薬剤師歴が少ない程、学習意欲が高い(歴が多い程、低くなる)
- 2. 6年制卒業者は巷で言われる程かかりつけ薬剤師としての意識・コミュニケーションスキルは高くない
の2点です。
前者ついて、国の指針の1つである「対物から対人業務」に対する根強い抵抗感があります。弊社の研修アンケートに「コミュニケーションが苦手だから薬局に入った」と記載する度合いは受講者の年齢が高まるにつれ多くなります。一般的に、教育の難易度は①知識習得②能力啓発③態度変容の順に上がっていきますので、対物時代を生きてきた中高年の薬剤師の態度変容をOff-JT中心で目指すのは非常に難しいでしょう。
一方後者について、研修受講者への「薬局ビジョンを読んだ事があるか?」という問い掛けに対し、9割以上の方が「読んだ事が無い」と回答する現状があります。
「薬局ビジョン」が業界動向とその動向に対応する薬剤師像である「かかりつけ薬剤師」を示していますが、この一連のストーリーに対する理解が浅ければ「かかりつけ薬剤師」を目指す意欲・必然性は高まらないでしょう。 また、他の職種(看護師、介護士、等)の受講者に比べ、薬剤師の研修内でのコミュニケーションに対する積極性は未だ低いと言わざるを得ません。地域包括ケアの中では多職種連携が必須となりますが、この点からもコミュニケーションスキル開発は喫緊の課題でしょう。
上記の様な課題認識に基づき、新人~入社4年目を対象にした「かかりつけ薬剤師育成プログラム」をご提案致します。かかりつけ薬剤師育成プログラムとは
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- 理念
- コミュニケーションはセンスの有無ではなく、セオリー(心理学・行動科学)の習得度合い、実践度合いで上手い・下手が決まる!
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- 対象
- 新卒入社1年目~4年目
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- 目標
- 業界環境への認識を深め、コミュニケーションのセオリーを段階的に学習する事で自信をつけ、対人業務の中で活躍できる薬剤師を育成する。
対象 | テーマ | 内容 | 詳細 |
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1年目 | 分かりやすい コミュニケーション (論理的コミュニケーション) |
情報を「分ける」事で「分かる」コミュニケーションへ
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2年目 | 気持ちに寄り添う コミュニケーション (心理的コミュニケーション) |
患者の気持ちに「寄り添う」コミュニケーションへ
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3年目 | 後輩指導の際の コミュニケーション (論理・心理を踏まえた世代間のコミュニケーション) |
新人の特長を「掴み指導する」コミュニケーションへ
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4年目 | 多職種連携の際の コミュニケーション (協働を目指す多職種間の コミュニケーション) |
多職種間で「足並みを揃える」コミュニケーションへ
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