かかりつけ薬剤師育成プログラム4年目研修
4年目研修(多職種連携の際のコミュニケーション)
地域包括ケア推進の中では多職種とのコミュニケーションが必須です。ここでの目的は、患者のQOL向上の為にお互いの認識を合わせる事。その前提には関係者相互に「足並みを揃える」つまりチームになる必要があります。4年目研修では多職種間でチームになる為のコミュニケーション術を学習します。
多職種連携の際のコミュニケーションとは
患者と医療者の関係性を表す言葉は時代の変遷と共に変っています。具体的には・・・
①コンプライアンス:患者が薬剤規定どおりに服薬すること
②アドヒアランス:患者が積極的に治療方針の決定に参加しその決定に従って治療を受けること
③コンコーダンス:患者と医療者がパートナーシップに基づき両者間で情報を共有し、対等の立場で話合った上で治療(服薬も含む)を決定していくこと
の3つが代表的です。
上記①・②・③の順で見て行くと医療提供者と患者の立場がより対等になっていく様が読み取れます。特に上記③は「地域包括ケア」の文脈の中で使われる事が多く、その意味では「患者と医療者のパートナーシップ」は「患者と多職種の医療者間の協力関係」と置き換える事が出来ます。
この協力関係を築く為のコミュニケーションを学習すること多職種連携の際のコミュニケーションとしています。
4年目に多職種連携の際のコミュニケーションを学習する背景
これまで患者を除く店舗外の方、つまり他職種(多職種)と話す責務は薬局長が負っていましたが、今後は全ての薬剤師がその責務を負う事になるでしょう。とはいえ多職種連携は「言うは易し、行うは難し」であり、基本的なコミュニケーション術を学習した上で初めて実践できるものです。上記より、「かかりつけ薬剤師育成プログラム」1・2・3年目研修の受講を通して学習したコミュニケーション術を土台に、多職種連携に対応するコミュニケーション術を学習してもらいたいと考えています。時間 | テーマ | 内容 |
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4時間 | 分かる (知的理解) |
オリエンテーション
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気付く (必然性の醸成) |
体感実習「山登り」
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実習「POPOPO」
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磨く (スキル啓発) |
ケーススタディ「医療チームにおける薬剤師の在り方」
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職場適応 | 振り返り
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研修受講者の声
オリエンテーションでは、対物業務から対人業務へ変わっていく中でのコミュニケーションの大切さを再確認しました。他職種の連携もなかなかイメージがつかめなかったですが、他職種の対話を見てイメージがつかめました。
発言の中でも一方的発言で終わり、無責任なままなこともある。パス回しが大切。非言語的情報で話し手の話し易さなど変わってくる。国の借金など明確な数字をみると焦りました。
自分が積極的傾聴を全くできていないことに気づくことができました。ただうなずく、共感するだけでなく、パスを出したり要約したり積極的な傾聴が出来るように意識してコミュニケーションをとろうと思いました。
皆が自分の情報を出し合える環境作りをすることで、共有情報の量・質が上がり、思考・行動・結果へと繋がっていくことが分かりました。自店での雰囲気作りに活かしたいと思います。
なぜかかりつけ薬剤師が求められているのか、対物ではなく対人関係の質のレベルの向上が必要なのか、ぼんやり意識していたことが、今までのやり方ではいけないのだと思える研修でした。積極的傾聴、受容共感的理解を意識しようと思います。