研修内容の実践事例~3年目研修~

8月のブログにて2年目研修の実践事例をご紹介させて頂きました。
今回のブログでは、

3年目研修「後輩指導の際のコミュニケーション」
(論理・心理を踏まえた世代間のコミュニケーション)

の実践事例をご紹介致します。
研修内容の詳細はブログ「3年目研修」をご覧頂ければと思います。


(例1)
後輩に新しい仕事を教える際や他店舗からヘルプで来てくれたスタッフへ
自店舗のルールを伝える際に、その業務の目的・背景を明確に伝える様にしました。

具体的には

「今までに~という事(問題)があったので、それを防ぐためにこの業務を行う様になった」

という様に伝えました。これまで指導した後に同じ事を何度も聞いてきた後輩の行動が変わり、自分で考えてから質問・提案してくる事が増えました。またヘルプのスタッフについても、理解して店舗のルールに従い業務を進めてくれる事が増えました。

→日常業務を新人や若手に教える際に、

「何(What)を」
「どの様に(How)」

の2点を中心に伝える事が多いですが、それだけでは指導内容の歩留まりは高くありません。
本例は

「どんな背景(発生した問題事象)や目的(再発防止)がありこの業務が生まれたのか?」

を後輩や他店舗からヘルプで来たスタッフへ伝え、両者の理解を深めた例です。
指導後には何度も同じ質問をしてこなくなったり、自分で目的から逆算して業務の進め方を考える様になった事が理解が深まった証拠と言えるでしょう。

(例2)
監査・投薬を積極的に行わない後輩がいました。その後輩に対して、頭ごなしに「もっと積極的に監査・投薬をしなさい!」と言うのではなく、

「最近重い処方に挑戦して頑張っていると思うし、その過程でストレスがあり大変だよね。」
「一方で監査・投薬の回数が他のスタッフに比べると少ない様だけど、何か不安があるのかな?」

という投げ掛けを行いました。すると「初めて出す薬の時は用法用量・注意点を調べるのに時間がかかる為に投薬をためらう事がある」との事でした。

そこで、薬歴が溜まってしまう事はよく考えて薬歴を書いている証である事を認め、
投薬の際に調べる事も大切だから知識が少ない現時点では監査に時間がかかってしまうのは当たり前、
経験を積む為にも監査・投薬に行くと成長に繋がる事を伝えました。

すると、薬歴が溜まってしまう状況に大きな変化はありませんが、進んで監査・投薬に行く様になりました。

→「もっと積極的に監査・投薬しなさい!」と最初に言わなかった事が素晴らしいです。
ご本人も自分なりに意図を持って行動しているのですが、それがTPOに合わない場合が正に今回の場面です。
その際には、本人の意図や感情を受容、共感する事が指導のスタートです。
そして指導する場面で投薬を行う事の目的(ここではご本人にとっての意義)を伝えながら、積極的に投薬する事の必然性を高める指導になっています。
具体的には先輩の励ましの言葉により後輩の考え方の枠組みを変える、つまりリフレーミングする事で監査・投薬に対する積極性が出た点が素晴らしいです。

(例3)
調剤が終了し監査待ちの処方箋があるにも関わらず、優先順位の低い業務に着手する後輩がいました。処方箋に気づいていないのかと思い指摘しようとも考えましたが、どんな考え・意図があるのか理解する事が重要と考え、後輩の話を聴く事を優先し、その後に自分の考えを伝える様にしました。

後輩からは監査待ち処方箋については気づいていましたが、私が発想もしない様な考えの下、あえて監査を行わなかった事が分かりました。その考えを尊重しつつ当該場面での考え方、対処方法を指導しました。

その後もTPOに合わないと感じた後輩の言動・行動に対しても、その背景にある意図を聴いてから、指導をする様にしています。

→この例も「そんな業務は後回しにして、監査待ちの処方箋の対応をして!」と言わなかった事がポイントです。
相手の考えを理解する為の投げかけを行い、そこには思いがけない後輩の考え(意図)があり、それを理解しようと努め、尊重した点も素晴らしいです。
まさに共感的理解ですね。
受容・共感的理解の後に、後輩の意図→言動がTPOに合わなければTPOに合った意図→言動が何かを指導すると後輩も指導内容を受容しやすいでしょう。

最近の新人の傾向として、昔に比べ「有能感」に強いこだわりを持っていると言われています。頭ごなしに指導すると、

「私は良かれと思ってやっているのに、何でそんな事を言われなければならないのか?」

と感じる場合が多い様です。当然、その様な指導が続くと、

「この職場では自分が自分は成長出来そうもない…」

と感じ、退職への道を歩む事も少なくありません。ただ、この傾向を批判しても意味がありません。
所与の事(変える事の出来ない真実)と捉え、如何に対応するか考える必要があります。

具体的には指導内容を、

「頭ごなし」「良い・悪いの評価」「What(何を)・How(どの様に)中心」

「受容」「共感的理解」「Why(目的・背景)中心」

にシフトしていく事が求められます。上記3つの例は、シフトの必然性を物語っています。
皆さまの指導・指示の際の参考に頂ければ幸いです。

次回ブログでは4年目研修「多職種連携の際のコミュニケーション」
(協働を目指す多職種間のコミュニケーション)

の現場での活用事例をご紹介致します。次回ブログもご期待ください。