薬局長・管理薬剤師の部下指導【コンサルタント発信】

最近弊社が担当させて頂くセミナーでは、「健康サポート」「かかりつけ」の両機能を強化する為に、スタッフ(薬剤師・調剤事務員)の
「調剤業」から「サービス業」への意識転換の必要性をメッセージしている。

現在、サービス業全般で人不足の傾向にあるが、保険薬局・ドラッグストア各社も同様に薬剤師不足に陥っている。

広域保険薬局・ドラッグストア各社は、ここ約20年間で積極的な出店攻勢を掛けてきたが、そのペースにも陰りが見え始めている。

要因は幾つか考えられるが、「薬局長や管理薬剤師の指導力不足による薬剤師の定着率の低さ」を指摘する声が多い。

 

そこで、今回は「薬局長や管理薬剤師の部下指導」について取り上げたいと思う。

本テーマを考える上で、

『多くの薬局長や管理薬剤師は、「人材育成」「部下指導」というテーマで教育研修を受ける機会が少なかった』

という現場の実状を前提としたい。

 

この背景には、多くの薬局・ドラッグストアでは、たとえ指導・育成が上手くいかなくても何とか業務が回せていた、という実態があった様に思う。
(中には薬歴未記載で問題になった薬局もあったが・・。)

具体的には、各業務(例:調剤・鑑査・服薬指導)のマニュアルに基づき業務遂行すれば、ある程度の予定調和は担保されていた。

一方、今後の薬局経営の世界観は「薬局ビジョン」でうたわれている「対物から対人」である事から、
過度にマニュアルに依存した業務運営では、予定調和を担保できない事態が多発する事は想像に難くない。

この様な中で、多くの薬局長・管理薬剤師からは、

①自分より年上や病院勤務・OTC販売の実務経験の長い中途の薬剤師
②6年制になってから卒業した若手・新人薬剤師

の指導に対する悩みを耳にする。
(因みに上記に加え、ドラッグストアでは調剤事務員に対する指導にも苦慮している、というお悩み相談を受ける事が多い。)

上記①・②の指導が上手くいかない背景には、2つの要因が考えられる。

一つ目は、薬局長・管理薬剤師側における「薬剤師の強み」が「部下指導上の弱み」になる事である。
具体的には、薬剤師の多くの業務において求められる、「モノ(処方箋・薬剤 等)」「コト(薬歴・患者の言動・行動 等)」を評価・分析的に捉える能力が、
部下との対話の場面にも「過剰」に使われている事である。(因みに患者との対話場面でも散見される。)

二つ目は、中途や若手・新人薬剤師側における「これまで培ってきた考え方を守りたい」という感情である。
この傾向は中途の場合、前職場のキャリアが長ければ長い程助長される。一方、若手・新人の場合、
5年時の実務実習を通じて「薬局実務」に対する明確な持論を持っている人ほど、この感情を強く持つ傾向にある。

これら2つが掛け合わされると、両者の関係が紛糾する確度は高くなる。

それは一体、何故なのか?

結論から言うと、「論理 VS 心理(感情)」の戦いは不毛な結果しか生まないからである。

先に挙げた「評価・分析」とは、相手の「モノ(所有物 等)」や「コト(言動・行動)」を論理的に解釈する行為であり、
相手の「感情」は対象にならない事が多い。
一方、何かしらの「感情」を強く持つ「ヒト」は、相手に自分の「感情」理解を求めており、それを経ずして、相手からの指導を受け入れる姿勢にならない事が多い。

例えば、中途薬剤師への指導の冒頭から、会社の「あるべき論」を伝え、説得させようとするも、

「私はこれまでのやり方を変えたくない」と拒絶され、話が平行線をたどるケースが正にこれに当たる。

上記より、薬局長・管理薬剤師の部下指導力を高める秘訣は、「共感的理解する能力を身につける事」と言える。

本能力を身につける為のポイントは、

①日頃、自分が相手を理解する際の傾向を知る
②共感的理解する為の心構えの醸成と方法論を理解する

の2点である。

①については、職場・プライベートを問わず自分が相手への理解を深める際に、
「評価」「分析」「共感」の何れの捉え方をする傾向が強いか、振り返ってみる事である。
また、TPO(相手の状況)にあった捉え方になっていたか?を振り返る事も大切である。

また②の詳細については、

弊社ホームページ掲載コンテンツ

『薬局長・管理薬剤師の指導力向上研修』(研修サンプルテキスト)

に譲るが、一言で言えば「相手の文脈に関心を持つ」事である。
具体的には、相手の言動・行動にのみ着眼するのでは無く、言動・行動の裏側にある相手の感情、考え方、
過去の経験に関心を持つ事が共感的理解の第一歩となる。

 

最後に、

「最高の教育はOJT」

という言葉があるが、本ブログの内容が、薬局長・管理薬剤師の部下指導力を高めるヒントとなり、上記の言葉を体現する為の一助となれば嬉しい。

 

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